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前回は、バレエを踊る上で、ONとOFFの切り換えが必要なことと、そのために日頃から“緊張感”を持つことが大切なことをお話しました。
バレエの舞台で“緊張感”を持って踊るためには、普段のレッスンの時から“緊張感”を持つことが大切です。
舞台で踊ったり、プロのスポーツ選手などは、お客様の前ではいつも最高のパフォーマンスをすることを求められます。その日の自分の体調や気分でパフォーマンスが左右されたり、自分の個人的なことや気の緩みから集中出来ずに、ベストパフォーマンスが出来ないほど、くやしいことはありません。ですから、こういった人達は、自分の中のスイッチを切り換えて、一瞬で自分の意志で自分をベストな状態に持って行く方法を持っています。(最近は、これをルーティーンと呼びますね。)
ベストな状態というのは、パフォーマンスの種類などによっても違いますし、個人個人で違いますが、おおむね、ほどよくリラックスしていて、ほどよく緊張感があり、適度に集中している必要があります。
ガチガチに緊張していてもいけないし、緩みすぎていてもいけない。
心と体は連動していますので、緊張しすぎると動きが硬くなり、力みが出ますし、リラックスしすぎると筋肉からも力が抜けて集中力が失われてしまいます。
ですから、この心と体がベストな状態というのは、実はどんなタイプの競技でも、そしてどんな人にとっても、割と近い状態であると言えると思います。
このベストな緊張感とリラックス、そして集中力を持っている状態は、普段のレッスンで身につけておいて、本番でしっかりと発揮出来る必要があります。
特にバレエは舞台の上でスポットライトを浴びながら、お客様の前で踊りますし、やり直しは出来ません。1回勝負です。
ですから、本番では普段よりも、もっと緊張している状態で踊りますので、普段のレッスンでもしっかりと緊張感を持ってレッスンしていないと、本番で緊張のため、自分をコントロール出来なくなります。つまり、練習とまったく心理状態と身体の状態で踊ってしまい、その分、失敗しやすくなってしまいます。
そのため、バレエでは普段のレッスンからまるで舞台の上にいるかのような緊張感を持って、レッスンをする必要があります。
レッスンがある日は、レッスンに向けて一日の流れを整えて行きます。
朝から「今日はバレエのレッスンがある」ときちんと意識しておくのです。
そして、その日のレッスンのことを考えながら、スイッチをONに入れながら、準備をしていきます。(自分なりの手順で、何段階かでスイッチをONにしていきましょう。)
仕事から直接、教室に通う場合は、その日のウェアを選んで、あらかじめ準備をしておきます。レッスンに向けて、髪をシニヨンに結ったり、レオタードを身につけたりするのもスイッチを入れるためのルーティーンの一つになります。
教室に家から直接行く場合でも、ジャージやスエットなどの“普段着”ではなく、きちんと人前に出る格好をしましょう。
(どうせ家→車→スタジオ→車→家だし、誰も見ていないし)と思っていたら、とんでもありません。自宅とスタジオ、それぞれの近所の人達、一緒に踊る仲間達、バレエの先生は普段のあなたをしっかりと見ています。そして、その服装でも、その人がどんな人なのかを判断しています。
バレエでも、お姫様はお姫様の服装、村娘は村娘の服装、踊り子は踊り子の服装をしています。
服装はその人をしっかりと表現しているのです。
その人がどんな人なのか。
清潔感はあるのか。
どれくらい余裕のある人なのか。
自分のことをきちんと大切に扱える人なのか。
周囲に配慮が出来る人なのか。
バレエは言葉を使わない表現ですが、服装も言葉を使わずにその人を雄弁に物語ります。
そして、服装はその人の踊りとも密接に係りがあります。
服装のセンスの良さは、踊りのセンスにつながります。
服装にかまう余裕がない人の踊りは、余裕がありません。
また、教室にジャージで来る人はONとOFFの切り替えが出来ていません。
教室というオフィシャルな場所に来ているのに、OFFになっていて緊張感がありません。
また、マナーの面でも、ジャージで教室に行くのは関心出来ません。
普通に考えたら、お友達の家に遊びに行くのだって、(これからスポーツをしに行くなら別ですが)ジャージやスエットでは行きませんよね。なぜなら、相手に対して失礼だからです。
ジャージというのは、動きやすい格好であると同時に汚れても良い格好です。他人の家に行く時に汚れても良い格好をして行くということは、「あなたの家、汚いですからね。」と言っているようなものです。
豪華なお屋敷に遊びに行く時や、大切な人と待ち合わせをしている時、人はお洒落をしますよね。ですから、ジャージで行くということは、「私にとってはこの場所はどうでも良い場所です。」「あなた達に、まったく気を使う気はありませんのでよろしく。」と言っているのと同じです。そこには甘えがあります。自分に厳しくするための場所に行く前に、すでに自分を甘やかしてしまっているのです。
繰り返しになりますが、緊張感のないままバレエのレッスンをしても残念ながら上手にはなりません。
いつもいつも着飾りましょうと言っているのではありません。
余計な装飾は自分自身と向き合うバレエには不似合いです。
また、ヒールの高い靴は、足裏の筋肉が充分に強くなっていないと、足の形を歪めますので、長時間歩いたり、日常的に履くことは、あまりお薦めません。
なにごとも、ほどほどということ、が大切ですが(これはバレエでも一緒ですね)
せっかくバレエという、人に見られる芸術を習うのであれば、スタジオへは、せめてお友達の家やカフェに行けるような服装や身だしなみ(メイクや髪型も同じです)でスイッチをONにしておいて下さい。
また、バレエのレッスンの時は髪の結い方もそうですし、下着もバレエ用のものを。
これもONとOFFの切り換えです。
日常の延長だったり、日常を引きずったまま、レッスンに参加することはあまりおすすめ出来ません。日常と同じ髪型や下着で踊っていることは、激しく動くバレエでは、そもそも機能的ではありませんし、本人も周囲の人も気持ちの切り替えがしにくくなります。
何より、教師が触って指導しにくいので、直しをしてもらいにくくなります。
ただし、最近は普段用のTシャツや下着にも汗を吸い取りやすかったり、動きやすくて、プチプラなものが出ていますから、もしそういったダンス用ではないものをレッスンで使用したい場合は、自分の中で(これはバレエ用)と決めて、オンとオフの区別をすることです。それだけで、ずいぶん違ってくると思います。
バレエを踊る人には、自分が人前に出るのだという意識が必要です。
プロのバレエダンサーも、オフの時はオーラを消して、わざと目立たなくしていたりします。
けれどパーティーなどのオンの場所では、ビシッと決めてオーラ全開で颯爽と登場します。
(特に外国の方は上手ですね。)
要は、オンとオフの切り替えが大切なのです。
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