大人がバレエを習うということ㉖ ~礼儀やマナーが大切にされる世界 その2~ | サクラバレエ 

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前回は、スタジオでの立ち居振る舞いについてお話させて頂きました。

今回は、バレエを習う上で、そしてバレエが上手になる上で、とても大切なことがテーマになっています。

バレエを習う上で必要な、礼儀やマナーを守り、大切にするためには、まず“ルールを守る”ということが出来る必要があります。

ルールとひと口に言っても、バレエには実に様々なルールがあります。

踊り方そのものにも、沢山の作法やルールがありますが、それ以前にバレエの世界、そしてバレエ教室にも様々なルールがあります。

そして、それを守るためには、“人間力”が必要になります。

と言っても、これだけではピンとこないと思いますので、もう少し丁寧に説明しますね。

バレエの世界は礼儀やマナーに厳しい、とこれまで何度もお伝えしてきました。

それはなぜか。

本気でバレエを習う、バレエを踊るということは、舞台に上がるということです。

舞台に上がるということは、“信用”が大切です。

テクニックがどうこういう前に、人としての“信用”です。

 

『バレエの公演を行なう』『バレエを上演する』というのは、『沢山の約束をする』ということなんですね。

まずは、舞台を観に来て下さるお客様と主催者(発表会の場合はバレエ教室ですね)の間には、たくさんの約束があります。

 

まず、主催者は出演者(発表会の場合は、バレエ教室と生徒ですね)との間に約束を交わします。主催者は出演者の募集をした時点で、そして出演者は舞台の参加申し込みをした時点で、約束をしたことになります。

 

次に主催者が「〇年〇月〇日に〇〇という場所で〇〇円で、〇〇という演目を、こういったメンバーでやります。」ということを、世の中にお知らせします。

この時点で、主催者は責任をもって公演を行なうという約束を、お客様にしたことになり、お客様はチケットを買うことにより、観に行きますという約束をしたことになります。

 

ところが、出演者が「やっぱり出るのやめます。」と言ったとしましょう。

理由は何であれ、これは出演者が主催者との約束をやぶってしまったことになります。

出演者が主催者との約束をやぶると、主催者はお客様との約束もやぶらなくてはいけなくなりますし、他の出演者との約束も守れなくなります。

「目立たない役だし、私1人くらいいなくても平気でしょ?」と軽く考える人もいるかもしれませんが、クラシックバレエというのは様式美をお客様にお見せするもの。

1人が欠けても舞台全体のバランスが崩れてしまい、作品が成立しません。

また、その1人が欠けた部分をカバーしようと、全体の振付が変更になる場合もよくあります。すると、きちんと約束を守っている他の出演者達に迷惑が沢山かかります。

また仮に、代役が入ったとしても、代役の人も大変ですし、代役の人に慣れるために他の人達もエネルギーを使います。

さらに、抜けた人の部分をそのままにしておくと、お客様はなぜそこだけスペースが空いているのかが気になって、踊りに集中出来ません。バレエは隊列や全体の美しさをお客様に観て頂くものですから、1人が欠けても舞台がしらけます。

グループでも4人で踊るところの1ヶ所が空いていると、お客様はそこが気になってそこしか観ません。

1人で踊る人やセンターを踊る人が穴をあけるなど、もってのほかです。お客様は一日、何があったのかと気になり、不完全な舞台のために移動時間も含めて何時間も使わなくてはいけなくなります。

お客様のために舞台をうつのに、自分達の都合でお客様の大切な時間を奪ってしまったり、ガッカリさせてしまう訳にはいかないのです。

 

このように、約束をやぶると、まわり中の人達に知らない間に迷惑をかけてしまいます。しかも、本人はそのことに気がつかなかくて、ケロッとしてしまっていたりするのです。

これでは、その人の信用はなくなります。

そうすると、どうなるかというと、主催者はお客様との約束をやぶる訳にはいかないので、それ以降の舞台でその人を舞台に上げてあげることが出来なくなるのです。

どんなに優秀なバレリーナであろうと、どんなに努力をしていようとも、また仮に体調不良やケガなどで約束をやぶらざるを得なかったにしろ、もう一度同じことがおこる可能性がある、つまり、お客様や他の出演者達との約束をもう一度やぶる可能性がある以上、その人を舞台に起用してあげる訳にはいかなくなってしまいます。

もし、仮にクリスマス会などの小さなパフォーマンスだったとしても、舞台には必要ない役なんて一つもないのです。重要な役やいなくなって目立つようなポジションはまかせてあげられなくなります。

それは、もしまたその人が約束を守れなかった時のその人の信用が落ちるダメージを最小限にくいとめてあげるためでもあります。

これが、舞台の世界では「親が危篤でも舞台に出ろ。絶対に舞台に穴を空けるな。」と言われるゆえんです。

舞台を上演するということは、主催者は大切なお客様、そして出演者達の時間を頂っていることになります。

バレエ教室がお客様との約束をやぶると、この教室の信用がなくなります。

その教室に所属している生徒全体も、舞台を貸してくれた劇場も、そこにたずさわったスタッフ達も、みんなの信用を落としてしまいます。

1人が約束を守れないと、みんなに迷惑がかかるのです。

舞台は生もの。

信用第一です。

だから、舞台では、もし軽い気持ちでキャンセルした訳ではなくて、大きなケガや体調不良で舞台に立てなかったとしてもそれは、自己管理や体調管理が出来なかったその人の責任になってしまい、良い訳はゆるされません。ステージというのは、それほど厳しい世界であり、厳しい自己管理が求められる世界なのです。

舞台で光り輝くということは、その裏で自分を律すること、自分に厳しくすることが求められます。

街のバレエ教室でも、舞台ドタキャンをして教室を移った人は、狭い世界です。その噂はあっという間に広がり、一生「舞台をキャンセルした人」として言われ続けます。一度失った信頼を取り戻すことは、簡単ではないでしょう。

ですから、もしあなたが、いつかバレエで舞台に立ちたいと思っているのなら、日頃から、小さな約束やルールを守ることが大切になってきます。

だから、バレエの世界では、ルールや決まりを守ることが厳しく言われるのです。

日頃から、ルールを守って信頼される人となることは、バレエのテクニックを磨くことよりも、もっとずっと大切です。

舞台を成功させ、お客様に喜んで頂けるようなバレエを踊るには、“信用される人になる”ということが必要です。つまり、最初にお話した、“人間力”ですね。

これは、一朝一夕では身につきません。

日常の小さなことの積み重ねがその人の信用をつくるのです。

 

たとえば、レッスン。

月謝でバレエのレッスンに通う、ということは、バレエを教えて頂くために、先生と毎週決まった曜日、決まった時間、決まった場所で待ち合わせをしている、ということになります。

(これは、出演者が舞台の上でお客様と待ち合わせをしているのと同じですね)

レッスンをしょっちゅう休む、つまり、約束をしょっちゅうキャンセルする、変更する人と、

レッスンをほとんど休まない、よほどのことがなければ約束を守る人。

もしあなたがバレエの教師なら、あなたはどちらの人を舞台のセンターに立たせますか?

もしあなたがお客様なら、舞台をちょくちょくキャンセルするバレリーナと、絶対に舞台に穴をあけないバレリーナ、どちらの舞台を観に行きたいですか?

 

また、お休みの連絡も、レッスン開始時間1分前にメールで送ってくる人と、

お休みすることがわかった時点で、直接伝えて、頭を下げる人、どちらをあなたは信用しますか?

 

また、大人になり、年齢や経験を重ねるにつれて、相手が本当のことを言っているのか、嘘をついているのかはすぐに見抜けるようになります。

しょっちゅう嘘を、それも相手を思いやるのではなく、自分のための嘘や言い訳をしている人と、嘘をつかない誠実な人、あなたはどちらの人に、大切な舞台を任せられますか?

 

つまり、その人が信用してもらえるかどうかは、日々の言動の積み重ねなのです。

 

バレエの服装や髪型の決まりを守らない人が、舞台本番だけ服装の決まりを守れるでしょうか?

本番の舞台で、自分だけが目立ちたくて自分だけリボンの色を変えたり、おでこを出すのがイヤだからと1人だけ前髪をつくったり、シニヨン(お団子)の位置を変えたりしないでしょうか。

きちんとルールを守っている人よりも、ルールを守らない人の方が悪い意味で目立って、他の人に迷惑をかけてしまってはいませんか?

お客様は一糸乱れぬコールドと、なぜか1人だけ前髪が下りているのが気になってしまい踊りに集中出来ないコールド、どちらを観たいでしょうか?

 

つまりは、レッスンを無断欠席する人は、本番の舞台も無断でドタキャンするかもしれない、そう思われてしうということなのです。

 

また、かけもち禁止のお教室でかけもちをすることも、やはり信用を失います。長い目で見て、その人にとってプラスにはならないでしょう。

 

繰り返しになりますが、信用のない人は舞台に立たせてあげることが出来ません。

どんなに才能があったり、努力をしている人でも、レッスン以外のところでズルしたり、きまりを破ったり、嘘をついていては、舞台に立たせてあげられないのです。

その人が望むような素敵な役や重要な役をまかせてあげられないのです。

なぜなら、その人がルールを破った時に、その人が失う信用とダメージが大きくなってしまうからです。

 

バレエが上手になるためには、舞台に立って踊ることが重要です。

ですから、本気でバレエが上手になりいのなら、普段から信用される人になるよう発言し、行動することが大切です。

ですから、バレエの世界はルールやマナーに厳しいのです。

それは、その人を信頼される人に育てるためです。

大人の場合は子供と違ってもう人格が出来ていますから、バレエの練習と同じように、信頼される自分になるための練習を少しずつ自分でして行くと良いと思います。

 

・バレエの世界の決まりを守る

・バレエ教室のルールを守る

・嘘をつかない

・自分のことだけ考えず、全体や相手のことも考える

・一般常識や社会性を身につける

 

こう書くと、ぼんやりしているように思えますが、実際には

 

・レッスンウェアの決まりを守る

・挨拶の決まりを守る

・レッスン中の振る舞いやマナーを守る

・スタジオの提出物やお月謝の〆切を守る

・お休みの連絡をきちんとする

 

こういった小さなことから練習していくと良いと思います。

ただ、人は急には変わりませんし、完璧な人はいません。

人は時に弱く、間違えるからこそ人間なのです。

だから、間違えた時には、きちんと「ごめんなさい」を言いましょう。

これは、相手のためにも必要なことですが、この言葉を口にすることで、自分自身を責め続けなくてよくなります。

きちんとあやまったら、流せるものは、水に流すとういことも、幸せに生きるために大切な手段です。

ルールというものは、(交通ルールを思い浮かべてもらうとわかりやすいと思うのですが)みんな、自分なりに守っているものです。けれど、気がついたら結構甘くなってしまっているな、ということもよくあります。

「このくらいは良いだろう。」

「誰も見ていないから良いだろう。」と流してしまわず、自分で自分を信頼出来る人へと少しずつ成長していってくださいね。

そして、自分で自分を信頼出来ることこそ、自信へとつながるのだということを知っておいて下さい。

 

<おまけ>

今回、この記事を読んで(私のことだ・・・)と思ったあなた。

この文章を読んだ人の99%がおそらくそう思っているはずなので、あなたのことではありませんよ。

安心して下さいね。

 

今回も長文を読んで下さって、ありがとうございました。

 

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