自分のこと その40 ~何のための競争か①~ | サクラバレエ 

サクラバレエ 

サクラバレエは岡山市にある“大人からはじめる本気のバレエ教室です。
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NYから戻ってきた私を待っていたのは、競争の世界でした。

 

お稽古事の趣味のバレエ教室でも、そこで習っている人達が本気でバレエを習っていれば、大人も子供もあるんです、競争。

 

イベントや発表会じゃなくても、普段のレッスンからバーの場所の取り合い、センターの場所の取り合い、先生に褒められた、先生に沢山注意してもらっている、先生と仲が良い、など、様々なシーンでピリピリとした雰囲気がありました。

 

皆、バレエが好きだし、上手になりたいので、そういう所にある程度の競争があるのは当たり前だし、以前からあることはあったのですが、私がNYから戻ってきてから、ますますヒートアップしていった感じがありましたね。

 

「・・・なによ、ちょっとNYに行ったからって。」

 

すれ違いざまに、耳元でささやかれたりしましたねぇにひひ

 

そして、この頃に限らず、バレエを始めた頃から、子供の時からバレエを習っている人や、バレエ再開組の人達から、表や裏で良く言われた言葉がありました。

 

「大人からはじめたくせに。」

 

これはまぁ、本当に良く言われましたね。

 

今から思えば、「褒め言葉をありがとう。」ですが、当時はこれを言われると、しょんぼりしていましたね。

 

その頃はまだ、大人からバレエを始める人は今みたいに多くありませんでしたし、大人からバレエをはじめてごめんなさい、子供達が主役のスタジオにお邪魔しちゃってすみません、みたいな風潮が当時はありました。

 

けれど、そんなことを気にしていたら前に進めないので、くじけませんでしたけどね。


・・・そして、そう言われる度に思っていました。

 

(大人から始めたって、バレエを好きな気持ちは変わらないし、上手になりたい気持ちは一緒。むしろ、自分で働いたお金を自分で払って、仕事の合間に時間をやりくりしてレッスンに通っているんだ。大人からバレエを始めた人のほうが、バレエを好きな事だってある!)と。

 

でも、心の中でいくらそう思っても、現実は厳しいものがありました。

 

自分と同じ様に、大人になってからバレエをはじめた人でも、レッスン回数や経験やそれまでの運動量などの身体条件、さらには年齢で上達のスピードは違ってきます。

 

自分より10才も20才も若い人は飲み込みが早いし、身体の変化も早い。振りを憶えるスピードも全く違います。

 

バレエを習っていなくても、他のスポーツなどを長年やってきている人は、筋肉がしっかりしているし、身体が強いです。

 

また、小さい時にバレエを習っていて、一度やめて再開した人は、バレエ用語やこの世界の常識が自然と身についているし、振り憶えはもちろんのこと、途中からの上達度が抜群に早い。さらに身体に『踊り』が入っているので、どんどん『踊れる身体』になっていきます。

 

私がバレエをはじめたのは20代。大人からはじめたにしては早い方とはいえ、歳月が立つほど、上達するとはいえ、年齢も上がっていくし、振り憶えも悪くなっている気がして、気持ちが焦ります。

 

バレエは本来、自分との戦いのはず。

 

他人と自分を比べるのではなく、昨日の自分と今日の自分を比べるもの。

 

そう分かっていても、割り切ることが難しい。

 

誰かが上手になるたびに、(自分が下手になっている訳でもないのに)、誰かが先生に褒められる度に、ショックを受ける自分のハートの弱さにまたショックを受けてみたりして。

 

今思えば、それだけ上手になりたかったんだし、自分を認めてあげられない不器用な自分がいたんだなとそんな自分を可愛らしく思うし、神様が、自分と他人を比べないためのトレーニングをさせてくれていたんだな、と思いますが、その頃はまぁとにかく辛かった。

 

そして、さらに辛かったのは、小さい時から習っている人達との競争です。

 

身体的なこと、経験的なことは、もちろんですが・・・。

 

大人からバレエを習った人は、どんなに一生懸命レッスンしても、基本的には『趣味の習い事』。

 

子供だって基本的には『趣味の習い事』ですが、発表会もあるし、コンクールもあるし、どうしたって競争がありますので、そこを乗り越えていけるように、子供達は最初から色々なことを教わります。

 

例えば、バレエは先生がアンシェヌマンや振付のお手本を見せる時は原則1回だけです。

 

憶えられない子は踊る資格がない。皆の前で立ち尽くすしかないのです。だから、必死で振りを憶えます。

 

厳しいけれど、それを何年も積み重ねていると、振りを早く正確に憶えられるようになります。

 

けれど、大人のクラスはそうじゃない。

 

憶えられるまで、ゆっくりと何回も見せてくれる先生も少なくない。

 

時には生徒の中から「ええ~、難しい~!」なんて声が上がることもあります。

 

どちらが振りを憶えるのが早いのかは、一目瞭然でしょう。

 

また、例えば先生に対する態度。

 

基本的にバレエの先生は礼儀をわきまえない生徒にはバレエを教えません。

 

バレエはもともとヨーロッパやロシアで上流階級の人達が発達させたもの。

 

一般人にはバレエを見る機会も踊る資格もなかった。

 

だから、バレエを愛している教師は、バレエを大切にしない無法者に「バレエ習ってま~す」と言わせる訳にいかないので、教えません。

 

上手になればなるほど、ゲストの先生を招待しての特別レッスンや、ワークショップ、留学などの機会が増えます。

 

だから子供達は先生への挨拶のしかたや、スタジオ内での振舞いなどをきちんと教えて貰います。

 

先生へ挨拶する時は立って挨拶すること。

 

レッスン開始時間には、先生がスタジオに入ってすぐレベランスが出来るように5番で立って待っておくこと。

 

レッスン中は機敏に動き、先生を待たせないこと。先生が何かされる時には先回りしてお手伝いすること。(先生が動くと、その間、レッスンがストップするためです)

 

レッスンで注意されたことは、次のレッスンまでに直してくること。

 

先生とは適度な距離を置くこと。

 

先生に物を差し上げたり、プライベートな用事に誘うのは失礼だということ。

 

大人から趣味でバレエを習っている人が、そこまでする必要はないと思っているので、私のクラスでもこれらのことは特に教えていませんが(5月からスタートする桜クラスでは教えますが)、小さい時からバレエを習っている人達の世界に入った時に、これらのことを知らずにもたもたしてしまうことも多く、随分苦労しました。

 

 

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