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競争の中に身を置いた私は、だんだんバレエが楽しくなくなってきていました。
楽しいから踊るのではなく、誰かに勝つために踊る。
誰かに負けないために努力する。
けれど、そこにはやはり骨格がもう固まってしまった大人になってからバレエを始めるハンデや、年齢のハンデが確かにあり、悔しい思いをすることが多かったですね。
それから、自分が競争意識を持っているということは、当然相手もそれを持っている訳で、それがお互いにプラスに働けば良いのですが、人は相手に対して「この人にはかなわない」と思い、そして、「私はあの場所へは行けない」と思ってしまうと、相手を傷つけて、その相手の価値を下げることによって、自分の自尊心を保とうとしますから、競争社会の中では、自分が勝つために意地悪をしてきたり、脚を引っ張ったり、悪口を流したり。バレエに集中したいのに、そんなことに振り回されている自分が嫌で、無駄にエネルギーを使っていました。
この嫉妬で足を引っぱられてしまう状況は、小さい頃からバレエを習っている人達よりも、私と同じように大人になってからバレエを始めた人、つまり、スタートラインが同じだった人からの方が激しかったですね。
今振り返ると、自分でも、たった一人で戦ってきたなぁ、と思います。
ただ、今となっては、嫉妬してくれていた人達は、それだけ私の中に価値をみてくれていたということになりますし、(どうでも良い相手には嫉妬しませんでしょ?)彼女達も苦しかったんだろうな、と思います。
それに、おかげさまで、今ではすっかり嫉妬の対処法を身につけて、自分の生徒達にアドバイス出来ますので、むしろ感謝しているくらいです。
…話がそれました。
そんな、競争の中に身を置いていて、自分が一体何のために踊っているのか、わからなくなってきていたある日。
私は自分自身にふと問いかけました。
(もし、この競争に負けたとしたら、あなたは幸せですか?) …答えは、NOです。
(では、この競争に勝ったとしたら、あなたは幸せですか?) …答えは、NOです。
!!!
勝っても負けても幸せじゃないとしたら、この競争に何の意味があるんだろう。
レッスン場の中でも外でも戦って、そのどちらを勝っても負けても幸せじゃないのだとしたら、一体何のための競争なのか。
一緒に競争している人達の中には、勝つことで達成感を得る人もいるでしょう。
勝たなければ自分に価値がない、勝たなければ自分は愛される資格がない、と無意識に思って頑張っている人もいるでしょう。
他人を蹴落として、自分が上手になった気がすることで、自分に価値を見出している人もいるでしょう。
でも、今の私は違う。
私は、勝っても負けても、虚しかった。
戦いを繰り返し、勝つことにこだわっているうちに、私は一人になっていました。
このまま、自分が目指すところに辿り着けたとしても、それで自分や誰かが幸せになれるとは思えなかった。
・・・私の行きたい場所は、目指しているものは、今のここにはない。
私にとってバレエは、自分を表現するためのもの。
自分を好きになるためのもの。
自分が成長するためのもの。
誰かと一緒に喜びをわかちあうもの。
そして、いつかは観る人を幸せにするためのもの。
・・・ああ、そうか。
その時、やっと気がつきました。
ずいぶん長い間、そこが私の大切な居場所だった。
つらいこと、悲しいことがあっても、この場所に来て、レオタードを着てシューズを履き、バーの前に立てば、無心になれた。
・・・だけど、もう行かなくちゃ。
自分が幸せになるためのバレエへ。
誰かと一緒に幸せになるためのバレエの道へと。
たとえそれが、どんなに大変な道だったとしても。
だって私は、幸せになるためにバレエと出会ったのだから。
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