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さて、バレエをはじめてから少し経ちました。
最初のうちは、正直レッスンに行くのが少しつらかった。
バレエの順番も言葉もさっぱりわからないし、ついていけない。
みんなの足を引っ張っているようで申し訳ない。
楽しく話す友達もいない。
そして何よりも、思い通りにならな身体と、鏡に映るジタバタしている見苦しい自分を見ることが辛かった。
当時は鏡の中の自分を正視出来ませんでした。
・・・そんなある日のレッスン中。
バーレッスンで曲が途切れた時。
突然、「すごい汗・・・。」という言葉と共に、誰かが背中をタオルで拭いてくれました。
私のすぐ後ろでバーレッスンをしていた、バレエ経験の長い、バレエが上手な同い年くらいの女性でした。
その頃の私は一生懸命すぎて、レッスンにタオルを持って行くという当たり前の事にさえ、気がついていなかったのです。
それにしても、いくら目の前の人がすごい汗をかいていたって、話をしたこともない人の汗をいきなり拭くというのは、なかなか出来ないことです。
私がびっくりしている間に、レッスンは次の動きに進み、あっという間にその日のレッスンは終わり、レッスン後に私はその人にお礼を言いに行きました。
「さっきはありがとう。あなたバレエすごく上手ね。」
そうやって彼女と話していて気がついたことがありました。
クラス中の人が、こっそりとこちらに聞き耳をたてていたのです。
クラスには色々な年代の人がいましたが、みんな、新入りの私を気にしてくれていたのです。
(・・・この子、大丈夫かな。続くかな。)
(・・・今日も頑張ってるね。)
そんな思いで見てくれていました。
みんな、バレエは最初がちょっと大変だってことを、知っているから。
それは、みんなが通ってきた道だから。
それがわかって、1人でバレエと格闘していた私は、嬉しくてじ~んとなりました。
そして、これを機会に、私は皆と話をするようになりました。
「最初は自分がみっともなく感じるけど、皆自分のことに必死で誰も他人のことなんか見てる余裕ないから大丈夫よ。」
「年が近いと思うんだけど、いくつ?あ、1コ違いだ。嬉しい、仲良くしてね。」
「私は1年前に入ったのよ。ずっと一番下っ端だったんだけどさ、後輩が出来て嬉しいわ。」
心強い、先輩達の声です。
そして、友達や仲間が出来ると、レッスンはグンと楽しくなります。
心が折れそうになっても、励ましあって、笑い飛ばしあって、乗り越えていけます。
何回、助けてもらったかしれません。
それ以来、私は見学や体験レッスンに来た人や、クラスに新しく入ってきた人には必ず声をかけ、冗談を言って笑わせて、クラスに溶け込みやすい空気をつくり続けました。
そして、その人達ともバレエを通して仲間になっていきました。
バレエと出会って人生が変わった私。
それは周囲の人の支えがあってこそでした。
だから私も周囲の人への感謝を込めて、出来るだけ恩返しにつとめてきました。
教師になった今は、見学や体験レッスンに来た人にあんまり親切にすると、「この先生、ものすごい勢いで営業してくるな~。」と思われるといけませんので、さすがにやめましたが
私にとって、仲間はバレエと一緒に、ずっと大切にしてきた事の1つでした。
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