もうどれくらい夫と、していないんだろう?~レディー・ドラゴン①~ | 立ち止まったハートが前進する!未来が視える奇跡リーディング

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無限∞の愛と豊かさや可能性を開く美開女になる「心のフィニッシングスクール」プリンシパル&宇宙ビジョン作家の人響三九楽ひびきさくらです。

 

なぜ8割で開くと、愛も豊かさも開くのでしょう?

 

何を8割、開くといいのでしょう?!

 

それは、こちらをお読みくださいね。

 

 

 

もうどれくらい、夫とsexしていないんだろう?

璃宇は頭の中で夫と肌が離れ、どれくらい時間が経つか計算しようとしたが、虚しくなり止めた。

 

今年の10月も終わってしまう・・・

ずっしりした肩こりの時によくある重だるい疲労感が、璃宇を襲う。

カレンダーをビリビリと破くと、11月は紅葉に囲まれた清水寺が現れた。

リビングに飾っているカレンダーは、季節を表す日本の風景写真で毎月彩られている。

12月に50歳を迎える璃宇は、自分が女として生きていく時間がどんどん過ぎて行くのを感じゾッとした。

気持ちを切り替えようと、あたたかいコーヒーを入れてテーブルに座った。

 

コーヒーは、いつもブラックだ。

少しでもダイエットになるか、と思い30代から砂糖を2杯入れたコーヒーをブラックに変えて飲み始めた。

もともと璃宇は、すんなりした手足とウエストを持ちモデルのようにスマートだった。

いくら食べても太らない7号サイズの体型で、周りに羨ましがられた。

25歳の時に結婚した4歳上の友樹は

「俺、璃宇のように抱きしめたら折れそうなくらいウエストの細い女がタイプなんだ。

お前の細い足を広げる時、ゾクゾクするくらいの征服欲を感じるんだ。」

とお酒に酔った時に、トロンとした目つきで言った。

璃宇は細い自分の身体が、愛する男を満足させると知って満足感に浸った。

新婚の時は3日に1度、友樹は璃宇を求め自分の征服欲を満たしていた。

求められるのは、うれしかった。

抱かれているだけで、幸せで満ち足りた気持ちになった。

けれど、よく雑誌に書かれているような「sexでイク」という感覚はなかった。

あともう少しその先にいってくれたら・・・

あ、そこ感じる場所からずれている・・・

そんな不満もあったけど、女の自分からそれを口に出すのは、はしたいないことだ、と思った。

いつか自分の身体を友樹もよく知り、時間が経てばもっともっと快感が深くなるだろう・・・とほのかな期待を持っていた。

だから自分の気持ち良さより彼の気持ち良さを優先させ、身体を離したらすぐにグーグー眠る友樹を可愛い、とさえ思った。

 

結婚するまで友樹以外の男性とも付き合ったこともあり、肉体関係もあった。

その時はとにかく妊娠しない事だけに気を取られ、快感を得ることは二の次だった。

sexで快楽を得る、なんていうものは、結婚という公に認められた安全な環境でだからこそ、と信じていた。

それは月のウサギのようだった。

子供の頃、月にウサギがいるという言い伝えを信じていたように、sexにイク、という快楽がついている、と思い込んでいた。

月は遠くて手を伸ばせないけど、友樹の身体は手を伸ばせばすぐそこにいる。

後ろめたい気持ちがないsexに快楽はもれなくついてくると、思っていたがこれも月のウサギと同じ幻想だった。

その内、月のウサギを追いかけるのを止めた。

 

それは、結婚して1年目

「お子さんは、いつ?」

と言われて、焦り始めた。

いつの間にかsexは快楽を得るものではなく、子どもを作るための共同作業になった。

 

だから妊娠がわかった時、ホッ、とした。

ああ、これで「お子さんはいつ?」攻撃から逃げられた。

やっと胸を張って世間並みの夫婦になれた、と思った。

27歳で娘を出産後、璃宇の身体は7号サイズから9号サイズに成長した。

友樹は丸みを帯びた璃宇の身体を抱き、ウエストの肉をつまみながら

「これ以上、肉はつけないでほしいね、奥さん。」

と笑顔で言った。

「あなたも少し、お腹にお肉がついたわよ、だんな様。」

と璃宇も笑顔で返した。

まだ余裕があった。

30歳で息子を出産すると11号サイズに成長し、お腹周りがだぶつくようになりヒップが下がり始めた。

自分の服のサイズや身体のたるみに気がつき焦り始めたが、二人の子供の世話に追われ、ダイエットしする余裕がないほど忙しかった。

まだ若かったしいつでも9号サイズに戻れる、と自分の身体を過信していた。

 

夜泣きする0歳児と、まだまだ手がかかる2歳児。

この頃から友樹の仕事も忙しくなり、家に帰ってくるのも10時過ぎになり、璃宇は一人で育児に奮闘した。

車で1時間弱の実家から時々母が来て家の片づけをしてくれたり、子供達を連れ実家に行くこともあった。

実家で昼寝をしている子供達を母に見てもらい、髪を切りに行くのがほんのわずかな息抜きで、自分だけの時間だった。

両親も友樹もそのまま泊るように言ってくれたが、夜遅く帰る彼にあたたかい食卓を用意したくて、夕方になると母の持たせたおかずと、眠くてぐずる子供達を車に乗せ家へ帰った。

それが妻の役割だと信じていた。

家で二人の子供の世話をするのも、実家まで行き帰りするのも、ぐったり疲れヘトヘトになる。

夜ベッドに入り、布団に包まれると3秒でこくん、と眠られた。

子供達に絵本の読み聞かせをしながら、気づいたらそのまま寝落ちしたことも何度もあった。

それでも夫が手を伸ばしたら、本当は眠かったけど断るのも悪いと思い、渋々応じた。

そんな時は、とにかく早く終わって欲しかった。

感じる、とか感じない、はどうでもよくて、ひたすら睡眠だけが欲しかった。

友樹に果ててもらうため、感じていないのに甘い声を出したり、イクふりをする演技だけはどんどんうまくなっていた。

 

いつから、夫のことを名前で呼ばなくなり、sexがなくなったんだろう。

わたしの身体が11号サイズになった頃から?

何がきっかけ?

夏から秋に季節が変わるように自然にそうなった、としかわからない。

いつのまにか、お互いを名前で呼ばなくなり「パパ」「ママ」と呼ぶようになっていった。

彼は友樹という名を失い、ただの夫という名の男=同居人=家族になった。

誰かに彼のことを話す時は、「だんなが」という「主人が」という呼び方になり、友樹、という名前は消滅した。

同時に璃宇の名前も消え「ママ」「~ちゃんと、~くんのママ」「佐伯さんの奥さん」という呼び名が新しい名前になった。

子供達が中学生になって、璃宇は近くのスーパーでレジのパートを始めた。

慣れない仕事に疲れ、一人でゆっくり寝たかった。

それまで一緒に寝ていたベッドのスプリングがきしむことを理由にセミダブルを処分し、シングルサイズのベットを2つ並べた時、二人は完全にsexから離れていた。

 

そんなことを思い出していると、手にしたコーヒーは冷めていた。

ブラックは、時間が経ちさめると苦みが増す。

砂糖を入れるのを止めた時のコーヒーは飲みにくく、喉を滑らず胃がなかなか受け付けなかった。

濃くて苦いエスプレッソなんて飲む人の気持ちがわからない、とも思った。

苦みも美味しく感じたのは、ずいぶん後になってからだ。

舌が慣れ、胃も慣れた。

身体は慣れていく。

夫とのsexがない生活でも、身体は慣れていく。

 

今や子供達は成長し、社会人になった娘は家を出て一人暮らしをしている。

息子は県外の大学を選び、家を出た。

20年前に買った家で二人、夫と淡々とした生活を送っている。

夫はあと数年で定年だ。

璃宇はいくつかのパートを経て、習い事の一つだったフラワーアレンジメントに夢中になり勉強し、講師になった。

今はカルチャーセンターや自宅サロンで教え生徒も増え、外から見たら充実した毎日を過ごしている。

 

ただ、時々足元がスースーする気がする。

迷子になって帰る家がわからなくなったように、泣きたい気持ちになる。

その気持ちがどこからやってくるのか、わからない。

そんな気持ちになる時は、いつもこうやって一人でいる時だ。

鏡に向かって、白髪を見つけたりシミや皺が増えたことに気づいた時。

お風呂に入る前に、裸になった自分の姿を鏡で見た時。

「もう50歳になるから、当然よね」

とあきらめ半分自分に言い聞かせながら、このまま人生を終えていいのかどうかわからなくなる。

 

生理もほとんどなくなり、更年期、と言われる年代になった。

友人の中には「更年期になったら、女としてはお終い」という子もいる。

けれど今の時代、美魔女という言葉もあるように(璃宇はあまりすきではないが)女として生きる寿命は昔より長くなった気がする。

でも・・・と、璃宇は思う。

女として生きる寿命が長くなった、ということは、sexレスの期間も長くなった、ということよね。

そう思い、マグカップに一口残ったコーヒーを飲み干した。

 

なぜ、このところ自分がsexだの、快楽、だの、という言葉に敏感になったのか・・・

それは、ネットでこんな言葉を見つけたからだ。

「美開女小説」

さらにクリックすると、そこにとんでもないことが書かれていた。

「えっ?!寧々さんが秀吉とsexレス?!

なに、これ?!」

 

璃宇の閉じていた快感が、子宮の奥底から目を覚ました瞬間だった。

 

 

 

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