一度心の蓋が開いた早映子は、次々これまで抑えていた感情が蘇ってくるのがわかった。
震災の時、一人でいるのが心細くて怖くてすぐに彼に連絡を取ろうとして、思いとどまった。
「わたしからは連絡できない・・・」
翌日、会社で安否を調べることはできた。
けれど、彼から早映子に電話があったのは、それから三日後だった。
空白の三日間、早映子はしみじみつくづく「愛人」という秘めたる立場の悲哀を感じた。
それは、こんなことだ。
わたしに何があったとしても、それは会社を通じてしか、彼に伝えることはできない。
彼に何かあったとしても、自分も会社を通じてしか、知る事ができない。
そう思って観念した。
本当は気が狂いそうになるほど切なくて、さみしくて、何度も何度も携帯電話に手を伸ばして電話やメールをしたい自分をこらえた。
こんなにたくさん人がいるけど、自分は世界で一番孤独だ一人ぼっちだ、と思い知らされた。
それは、ふだん見たくなくて押し込んだ事実だった。
早映子は、何度もやってくる余震が怖くてたまらず一人で震えながら泣いた。
押しこめた気持ちが、ポン!ポン!と打ち上げ花火のように記憶の中で鮮やかに花開いた。
ある時期、彼といつもよりたくさん会えた時があった。
お泊りなんてほとんどできなかったのに、この時は奇跡のように何度か一緒に朝を迎えることができた。
終電を気にすることなく、一晩中一緒に居られ、目が覚めたらすぐ横に大すきな彼がいる。
寝ている彼の頬をツンツン、とつついて起こし、起きたばかりの彼に抱きしめられた幸せ。
「もしかして、彼は妻と離婚するのかも?
この幸せが、当たり前の幸せになるのかも?」
早映子は、そんなはかない希望を持った。
けれど、それは彼の妻が妊娠して里帰りしていただけだった。
妻とはsexレスだ、と彼は言っていたのに、真っ赤な嘘っぱちだったことを知った。
嘘をつかれ、侮られ、なめられたくやしさ。
結局、早映子は彼の妻のいない期間だけの代理だった、と知った。
それは彼と一緒に崖から美しい景色を眺めていたのに、不意に彼から突き落とされたようなショックだった。
その時感じた、お腹の底からの怒り。
それはもれなく彼の子を堕胎した時のつらさも、思い出させた。
その時の早映子は、子どもができたことに戸惑いながらも、うれしかったのだ。
彼との子どもは、愛の証のように思えた。
だから、彼女のこの言葉に衝撃を受けた。
あの時のわたしは、心のどこかでそう思いながら「安全日だから大丈夫」と言ったのかもしれない。
なぜ、妻になら二人の子を宿らせて産ませ、わたしには子種をくれないのか?
なぜ、わたしは宿らせてはいけないの?
早映子は、そんな不満を抱え彼を試したことに薄々気づいていた。
でも、この賭けに彼女は負けた。
「それだけは許してほしい。申し訳ないが、認知もできないし、産んでもらうと困る。」
と、彼は早映子に頭を下げた。
完全に彼女は子を宿す事を否定され、子種に拒否された。
負け犬になったみじめな敗北感。
押し込められた感情が、ボン!とガスのように爆発した。
「何なのよ!もうっ!!」
早映子はすぐそばにあったクッションを壁に向かって、思いっ切り投げつけた。
一度開かれた怒りや、悲しみ、苦しみ、辛さや切なさは堰を切ったように湧き出してきた。
気づけば、ネガティブな毒が一瞬で早映子の身体中をかけめぐった。
一度占領されたら、すぐには取り戻せない。
しばらくそれらの毒にのたうちまくった。
「馬鹿野郎!ばかっ!大っ嫌い!馬鹿にするなよ!なめんなよ!」
出来る限りの悪態をつき、何度もなんどもクッションを投げつけ、自分の拳で自分を叩いた。
彼に向かって吐き出す言葉は、すべて自分に向かって吐いている言葉だ、と早映子は知っていた。
毒が抜け切ったのは、夜明けになってからだ。
カーテン越しの朝日が一条の光になり、疲れ果てた早映子をやさしく包み込んだ。
それは神様からの救いの手のようだった。
神様の光に包まれた早映子の目から流れたのは、あたたかい決意の涙だった。
今までのわたしに、サヨナラする。
わたしの本音、それは彼が妻に三下り半を突きつけられ、離婚して一人になること。
翻ってそれは・・・今さら、彼が独り身になっ自分のところに来られても、困る、ということ。
困るの。
困る、すごく困る。
困っちゃうの。
なぜ??
それは・・・わたしの中に彼への愛がないから!!
この衝撃的な事実は、これを読んで開かれた。
寧々が実は、豊臣の存続を望みながら無意識下で豊臣の滅亡を望んでいたように、早映子も子宮を開いた。
早映子の子宮は、知っていた。
もう彼への愛も執着もないことを認めた。
それは、早映子の顕在意識よりもずっと早く知っていた事実だった。
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