いつもお読みくださりありがとうございます。

 

ここ最近、偏差値40台の中学受験と題して、主に偏差値40台でゴールする子の特徴、抜け出せない子の特徴、加えて偏差値40台だったけど、途中で50台へ上がって行くこが「お、なんか抜け出せたな」と見ていて思うポイント、を書いています。

もし、お子さんが偏差値40台またはそれ以下だった場合はこれらの例にたぶん当てはまると思います。

なので、大手塾などの次々と襲ってくる単元をこなす前に、勇気を持って逆算が本当にわかっているか、とか比例、分数がわかっているか、とかに戻ってみてほしいです。そこを抜けるとフッと50台へ抜け出せることがあると思います。

逆にこれらがクリアできないと、偏差値50の壁は厳しいかと思います。。。。算数、理科において。

国語の壁、はまた書きますが今は主に算数や理科の「感覚」という点で書いています。

 

以下は今までの話一覧です。

 

偏差値40台の中学受験①~ひとつ試してほしいこと~

 

偏差値40台の中学受験② ~逆算ができない~ | 2022兄中受終了組・2029中受を目指す元サピックス講師ママのブログ (ameblo.jp)

 

偏差値40台の中学受験③~「先生、公式忘れました」~ | 2022兄中受終了組・2029中受を目指す元サピックス講師ママのブログ (ameblo.jp)

 

偏差値40台の中学受験④~比例倍が出来ない~ | 2022兄中受終了組・2029中受を目指す元サピックス講師ママのブログ (ameblo.jp)

 

今日のテーマにした「式じゃなくて、図を書いて」という題ですが、誤解を生むかもしれない題名をわざと付けてみました。

 

なかには「え?式とか図を書けって言われてるから式も大事でしょ?」と思う方も多いと思うんです。

たしかにそうなんですが、この「式を書く」というのが子どもによってはすごくネックというか、くせものというか。。。ショボーン

 

例えば速さの問題で

 

円周の長さが100センチの円周上を2点A,Bが同じ地点から同時に同じ方向に進みます。A,Bの速さは、それぞれ秒速10センチ、15センチです。円の中心と2点A,Bがはじめて一直線になるのは、進みはじめてから何秒後になりますか?(芝浦工大過去問)

という問題なんかがあると、まあ出来る子は一瞬で解いたりもするわけですが、算数偏差値40台の場合まあ間違いなく手が止まるはずです。

こういう問題を解説するときは当然円を書いて、「一直線になるってことはAとBを結んだ線が中心点を通る直径になるってことだよね?」と説明してから、「ということは、BがAの50センチ先を進むってことになるよね?」と図で示しながら説明し、やっと最後に「だから50センチの距離ができるまで離れるのは何秒かかるか、ってことだから、、、50÷(15ー10)=10、10秒後だね」とやっていくわけですが。

 

これを偏差値40台の子に説明すると、ほとんどの子が「50÷(15-10)=10」だけを写すんですポーン

いやいや、こんな式はどうでもよくて(どうでもよくはないんだけど)、メインはこの図で、一直線になるってことは直径になるってことを図で理解する、ってことだと思うんです。

でも言わないと書きません。偏差値40台以下、とくに40前半から30台の子は、解説を聞いてふーん、と思っても式しか写さないんです。。。それ、絶対次に解くとき忘れてるよ?わからないよ?と思うのですが。

 

まず、原因としてはひとつ、意識として「よし、次はこの問題(または類題)は1人で解いてやるぞ!」という意識が薄いというかほぼ無いです。チーンだから「絶対できるようになるぞ、理解するぞ、そして自力で解くぞ」とは思わず、素直に「そっかー。よし写しておこう」で止まっています。

 

「式を書け、式を書け」とずっと言われることは正しくて、今は小学校低学年で学校では式をすごく書かせるし、親も塾も比較的意識は高い人も多いと思います。でも私からするとなんていうか言い方が難しいのですが

「ただ、式を書いている。数字合わせみたいな式を書く」というお子さんが一定数出来てしまっている気がします。

 

だから、理科でも表から数字を抜き出して自分で考えて計算する、計算式を作る、という問題でバタバタつまづくのかな、と思うんです。

先日の「公式忘れちゃったから、解けません」とも根底は同じだと思っています。

 

旅人算で2人で往復して二回目に出会う、とかもA地点とB地点の3倍の距離を2人で進むことになるのですが、それも何も考えないし、図を書いてもみないから、平気で「2往復だから距離を2倍する」みたいなことをします。いつも私は「ほんとに?ほんとに2倍か書いてみればいいじゃん!」と言うのですが、「え?めんどくさい」みたいな反応の子も多いです。

 

算数の文章はどんどん長くなっていきますし、文章の中から必要な数字を見つけて書き表していく、その過程で図が必要だし図解した上での式だから意味があると思います。

もちろん、これが偏差値60台以上になると頭の中に図があったり、もう類題が頭に入っているのでこのレベルの旅人算は書かないでも式だけ、メモだけ取って正解できます。

 

簡単なつるかめ算、差集め算なんかも、偏差値60以上だと頭の中で解けるので、そういう子は必要ないです。ただ、偏差値60前後だと「うっかり」とかミスをするので私は「メモを取れ~」と言っています。必要な数字を抜き出してメモを取る、そうするだけで「うっかり逆にした」とか「数字をなぜか読み間違えた」みたいなことはぐっと減るわけです。

 

しかし、偏差値40前後の子が何も書かないのはもう、まったく意味がなく、伸びないし次につながりません。

まあ書かないから40台前半で低迷しているというのもあるし、40台以下だから書けない、というのも一理あるし、卵が先かニワトリが先か、ちょっと地頭論も関係するのか断言できないところはありますが、でも「書く」ようになって壁を越えた子も確実に存在するので、目先の点数は置いといて、基本に戻ってきちんと子どもが「意味のある図を」書いているのかチェックすることは大切だと思います。

 

ノートに綺麗に、かなり綺麗に式だけ、書いて宿題を持ってくる子がいますが、毎回ため息です。

一応、答え合わせをするのですがやっぱり全問正解ではない。半分は間違えている。。。

もし全問正解だったら私もそこまで言わないのですが、やはり図を書かずに偏差値40台の子が式だけで全問正解することはあり得ないのだ、と今は悟っています。

 

書きたくない子にもしつこく、「ねえ、この図、何秒で書けると思う?10秒で正解に近づいて、結果5点だよ?」とか、「メモを取ってごらん?」とかどこに図を書くのか、メモを書くのか、何を書くのか、指導しています。

 

ですが、たまに保護者の方に強く「式を綺麗に」と指導されているお子さんもいて、ピントがズレてるなあ、と感じることもあります。

あと、過去一番困ったのは、「うちは暗算を推奨していて、頭の中で考えることを鍛えさせているので、式を書けとは言わないでください。あ、図は書けと言ってもらってもいいんですけど。」と言われたときです。ゲロー

うーん、お子さん、頭の中で図も書いてないですけどね、、、と思いながらももう諦めました。その子は途中で中受はしないことになったりしたので私の担当じゃなくなってホッとしましたし。言うほど暗算も出来てませんでしたしね。公文もそろばんもやっていなかったので。

 

式を書く、といっても図があっての式なので、式だけ書いても最初に書いた例みたいに意味がないんですよね。。。そういう意味の式を書けとは言っていないし、あと表面積や体積を求める場合は式がとても大事です。式だけで正解が出せる例と言えますね。

だいたい、子どもは「足し忘れ」をします。だから自分が今どこの部分まで足しているのか、忘れないためにも表面積や体積のときは式が大切です。それなのに「式は書かせなくていい」とか言われても。。。。

その子は親にそういわれて育ったのでとにかく「書きたくない」が先に立ち、手を動かすことを嫌がる子になりました。学力的にも伸びていませんでした。

 

とにかく、「手を動かす」ことは自分の子どもにもずっと言っています。

綺麗な式なんて一気に立てられなくて当たり前で、何度も図を書いたり、問題文を読解したりしながら進んでほしいと思っています。

 

長くなってしまったので、「図を書く」にあたっての障害の細かい話はまたしたいと思いますが、とにかく「手を動かす」ことを嫌がらないようにすることが本当に大切だと思っています。

 

以前も紹介しましたが、サイパーシリーズの和差算・分配算が新装版が出ています。

これはこれまた以前も書いたように、線分図を1人で書かせるために親が線分図のところを2周目からは(または最初から)隠してコピーを取り、自分1人で線分図が書けるかどうかを見たほうがいいです。

進んでいる子なら小3くらいから十分1人で書けるようになりますし、今5年でも図が書けない子には試しにやらせてみるのもありだと思います。