墾田永年私財法とか荘園って一体何なの?分かりやすく解説! | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫

墾田永年私財法って?







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歴史で登場する墾田永年私財法や荘園って名前は覚えるけど結局何なのかよく知らない!という人も多いはず!







  田んぼの所有者は誰だ!?




そもそも田んぼや畑を新しく作って頑張っていても、その田んぼや畑の土地の所有者は誰だ!というのははっきり決まっていいませんでした。


なので新しく開拓した田んぼ


つまり

墾田


 

このという漢字は「耕す」という意味


は自分で作ったのに役人に取り上げられることもありました。


そりゃ、働く意欲もなくなるってもんですよね。

せっかく作った土地が没収されるんですもん。










そこで政府は墾田(新しく開拓した田んぼ)誰のものになるかという法律を作りました。




その田んぼを作った

 

・本人

・子供

・孫


場合によっては

 

・子供

・孫

・ひ孫



これが、三世代に土地所有を認める法律


三世一身法



です。











  3世代が終わると結局取り上げられる



法律ができた当初はそれで再び農業をしている人たちの意欲も戻ったのですが、三世代と時が進むにつれて期限が来ると結局役人に取り上げられてしまい、農民たちの意欲低下。

これはアカン!

と政府は次の対策を考えます。



 

三世代とかいってられへん!

開拓した
墾田は永久的に私有地にしていいぞ!

けれど、一応、身分によって面積だけは決めさせてや!




つまり、墾田を永久に私財にしてもいいよ、という法律



墾田永年私財法



です。












  貴族が喜んだ!?



さて墾田を永久的に私有地にできるとはっきりと決まって喜んだのは耕した本人たち、つまり農民だけではありませんでした。


貴族たちもめっちゃ喜んだのです。




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え!?貴族って別に田んぼを耕したりして働いてないんやろ?


その通り。


彼らの目的は「土地所有」そのものにありました。


今までだったら結局役人などに持っていかれてしまっていた土地が永久に自分たちのものになるのです。

しかも、身分によって面積は広くなる。


これを逃さない手はありません。




土地が欲しい人たちは他にもいました。

寺社経営をしている人たち、そして豪族たち。


やがて貴族と寺社と豪族は未開拓地の囲い込みを始めました。




とはいえ、墾田永年私財法はあくまで田んぼを私有地として認める法律。

土地の申請をしてから3年以内に田んぼとして開墾しなければならないという決まりがありました。



なので土地の囲い込みをした権力者たちは、その土地の周辺の人たちに賃金を払ってその土地を開拓させたのです。


こうしてできた土地を中心に領地経営が盛んになりました。

権力者が所有する土地という意味で、荘園と呼ばれるようになりました。






この荘園はどんどん増えていって、政府は



 

「これはアカン荘園を整理しなあかん」


と、荘園を整理する命令

荘園整理令


を出しました。


新規の開墾を停止します。

新規は停止ですが、荒地になっていた公の田を耕し直して売買することは認められました。


そうすると結局その再開発の土地も荘園のように運用され始め、イタチごっこのように荘園整理と抜け道をついた荘園の増加の繰り返しになりました。











  荘園の終わり




荘園による現地の支配が落ち着いてきた頃、源頼朝が平家を打ち負かし、弟の義経を捕えるという理由で各地に守護と地頭を設置しました。

それによって現地の支配の実態が公家などの貴族たちから武家へと移るところが多く出てきました。



荘園に属している百姓たちを地頭の側に取り込んで、荘園の領主に送る年貢を押さえたりなどもし始めたのです。

もちろん荘園の領主たちも幕府に訴えたりしたのですが、地頭の実質的な領主化は止まりませんでした。


室町時代になると、領主は経済的に落ち込んでいきました。

戦国時代になると荘園制度は実質的に解体しているような状態になっていきました。


そして豊臣秀吉が天下統一をして、太閤検地をし、荘園制度は消滅したのです。














 





 

 

 

 



とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
 太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中

 

 

 


豊竹咲寿太夫
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