猟奇探偵団/マツタケワークス
1. 猟奇探偵団のテーマ
2. デスゲーム番狂わせ
3. 革命ゲバルトちゃん
4. 捨てない女
5. 紐虫
6. 並の左手あくまで右手
7. 莫迦なの奇太郎
8. 笑えせえるすまん
9. 凡人48号
10. 少女薄命ハテナ
11. 神の家の子供
BadeggBoxからのリリースとなったマツタケワークスのフルアルバム。
思春期日本代表を自称して活動する彼ら。
しかしながら、本作においてコンセプトに据えたのは"猟奇探偵団"。
Vo.マツオカエイジさんがかつて在籍していたバンド・猟奇探偵社マカロニを彷彿とさせるタイトルが冠されたことで、二度見してしまったV系フリークも多かったのでは。
実際、裏ジャケや背面には"猟奇探偵社"と誤植されており、狙いがそこにあったのは事実でしょう。
声の協力としてクレジットされているアノコロイドのノビタさんの語りや、メンバーの寸劇が中心となった「猟奇探偵団のテーマ」からアルバムはスタート。
ひとつひとつが独立したストーリーテリング調の楽曲となっているのですが、これを捜査結果と位置づけているのが面白いところです。
探偵団そのものが描かれた楽曲はほとんどないのだけれど、不幸自慢のような様々な人間模様を淡々と描写していくスタイルは、第三者が記したものだという設定を加えるだけで、悪趣味要素が強まって猟奇性が高まるのですよね。
音楽性としては集大成的。
バンドサウンドはわちゃわちゃと賑やかに。
そこにコミカルだけどほんのり切なくなるシンセも加えて、情報密度を濃くしています。
11曲もあるので、アナログ寄りになったりデジタル色が強まったりというバランスの調整こそありますが、突き詰めてきたサウンドの進化/深化を選択。
聴き手の耳や心をグサグサと抉ってくる歌詞も相変わらずで、どことなく漂うサブカル、アングラ趣味によってファンタジーとリアリティの境界線が曖昧になる感覚がたまりません。
どの楽曲もハズレはないのですが、ラストに配置された「神の家の子供」に、本作の魅力は集約されているのかと。
カタルシスのあるメロディアスチューンでセオリー通りに締めくくる一方で、イヤミス的にモヤモヤが残るオチをつけて、バッドエンドを演出していました。
小説と違って、リピートするハードルが低いのが音楽のメリット。
解釈の余地があるだけに、何度も聴きたくなるのですよ。
猟奇探偵社マカロニの解散が、2004年。
およそ20年越しの伏線回収となった1枚です。
<過去のマツタケワークスに関するレビュー>