絶海色/洗脳Tokyo
1. 絶海色
SWEET DREAMS/洗脳Tokyo
1. SWEET DREAMS
2ヵ月連続でデジタルリリースされた、洗脳Tokyoの8th&9thシングル。
CDのジャケットをスキャンしたようなデザイン。
背表紙部分の文字が切れているところに、芸の細かさを感じてしまいます。
アートワークの統一感が示すように、本作は各メンバーが1曲ずつプロデュースするという連作シリーズ。
本来は、4月に発表されたVo&Ba.守護霊さんによる「絶海色」、5月のVo&Gt.顚仙さんによる「SWEET DREAMS」に続き、Vo&Dr.吉一九兵衛さんによるシリーズ第三弾のリリースも6月に予定されていたのですが、吉さんが5月末に突然の脱退。
制作が中止となり、シリーズは2作で打ち止めになってしまいました。
「絶海色」は、キャッチーさとマニアックさを両立させるロックチューン。
J-POPでも通用するであろうソフトでポップな歌メロに、シンプルなバンドサウンド。
青春時代に仲間たちとスタジオで演奏したら気持ち良さそう、という経験していないはずの経験を想起させるパワーを持っているのですが、同じぐらい、上乗せさせているデジタルサウンドの癖も強いのですよ。
透明感のある音色である一方、メインのフレーズを塗り潰そうと言わんばかりに重なってくるので、聴きにくさを生んでいる。
このプラスだけではなくマイナスにも働く要素を、一般受けしそうなナンバーに平気で上乗せするセンスと胆力が、守護霊さんらしく、洗脳Tokyoらしいのでは。
顚仙さんが作曲した「SWEET DREAMS」は、音使いについて前作からの踏襲も見られます。
駆け抜けるような疾走感を、バンドサウンドの瑞々しさで表現。
"テクニックによりも衝動性"のスタイルは「絶海色」でも顕在化していましたが、表現力の鋭さで言ったら、こちらも負けてはおりません。
そして、効果的なエレクトロサウンド。
アクセントとして高揚感を高める演出になっていて、意外すぎるほど正統派。
だからこそ、洗脳Tokyoとしては異質に聴こえてしまうから不思議なものですね。
要素というか、方向性としては近いものがある2曲。
だけど、受ける印象は正反対。
3部作が2部作になるアクシデントはあったものの、この2曲を対にする意味が出てきており、本シリーズのみで言うのであれば、結果オーライということかもしれません。
再び、守護霊&顚仙のユニット編成になる彼ら。
夏には4thアルバムの発表もアナウンスされていますが、寝耳に水の脱退劇でどうなるか。
過去にもユニット編成で作品を発表していますし、クオリティの心配はしていませんが、スケジュールやメンタル面に影響が出ていないことを祈ります。
<過去の洗脳Tokyoに関するレビュー>