神髄 -OMNIBUS-/NoGoD
1. 天国
2. ジョン・ドウに捧ぐ
3. 海底ノ華
4. STELLA
5. Burning Heart
6. Dirty & Beauty
7. アオナツ
8. イドラ
「神髄 -FRONTIER-」、「神髄 -THE POWER-」に次ぐ、11年ぶりのリリースとなった"神髄"シリーズ第三弾。
前作「NoW TESTAMENT」から約1年でリリースされたアルバムのタイトルは、まさかの「神髄 -OMNIBUS-」。
2013年にリリースされたコンセプトシングルシリーズが、スペシャル・アルバムになって帰ってくるとは。
ヘヴィメタルに特化した「神髄 -FRONTIER-」、ハードロックに特化した「神髄 -THE POWER-」。
この「神髄 -OMNIBUS-」は、全員が作曲に参加して、それぞれの個性を強く打ち出すコンセプトになっています。
スタートを切る「天国」は、Vo.団長さんが原曲を構成。
NoGoDらしいスピードとパワーを持ち、メロディはキャッチー。
暑苦しいほどのメッセージを感じ取れるところも、ハモりが気持ち良いギターソロも、とにかく王道感があって気持ち良いですね。
もともとやりたいことを素直にやってきたバンドではありましたが、そのうえで"個"を押し出そうとする本作の1曲目としては絶妙だったのではないかと。
リードトラックとなった「ジョン・ドウに捧ぐ」は、Ba.hibikiさんがコンポーズ。
こちらも、メタルに必要な要素を全部盛りにしたような様式美です。
変拍子や転調など、構成面でもテクニカルに仕上げ、ギターとベースの連携も高難易度。
しかしながら、サビのメロディはとにかく爽快。
清涼感のある突き抜け方をしていて、メタル感が抜けたところに、hibikiさんのルーツを垣間見た気がしました。
Gt.Shinnoさんが作詞・作曲を担当したのは「海底ノ華」。
メタル色が強くなっていたところに、こうもヴィジュアル系的な感性が戻ってくるとニヤリとしてしまう。
団長さんの歌唱も、伸びやかなハイトーンよりも低音の艶やかさを意識しているようで、個性とルーツは切っても切り離せないのだな、と実感する1曲になったのでは。
続く「STELLA」も、引き続き歌詞をShinnoさんが書きあげています。
Dr.Kさんが原曲を手掛けた青春の匂いがするアッパーチューンは、またひとつ彼らの世界を広げるアクセントに。
本編としてはラストになる「Burning Heart」は、サポートGt. Iyoda Koheiさんが持ち込んだメタルチューン。
タイトルからして、メタルじゃなかったら何なんだ、という暑苦しさがたまりません。
歌謡曲調に展開するかと思いきや、コード進行が読めないワクワク感。
もはやサポートの域を超えて、NoGoDのサウンドの中核になっているKoheiさんのギタープレイが炸裂していて、ひたすら溢れるメタル愛に、過去の"神髄"シリーズとの共通点も見出せそうだから運命的なのです。
なお、配信されている作品は5曲のみである一方、CD盤には、会場限定シングルから「Dirty & Beauty」、「アオナツ」、「イドラ」の3曲が追加収録されています。
ボーナストラックにするには贅沢すぎるほど実績十分のラインナップ。
「Burning Heart」で暑苦しく終わるのも良いのですが、この3曲が入ると暑さに爽やかさも加わって、なんだかますます夏っぽさが出てくるのですよ。
リリースは4月と春の作品ながら、あえて初夏まで紹介を控えていたのは、これからの季節に向けて聴き込みたいから。
いっそのこと、夏フェスに出たりしないかな、なんて期待をしてしまう1枚。
<過去のNoGoD(新興宗教楽団NoGoD)に関するレビュー>