Genealogie der Moral/deadman
1. in the cabinet
2. 真夜中の白鳥
3. rabid dog
4. 静かなくちづけ
5. ミツバチ
6. the dead come walking
7. 猫とブランケット、寄り添い巡り逢う産声
8. 零
9. 宿主
10. dawn of the dead
実に19年ぶりの発表となった、deadmanの3rdフルアルバム。
振り返れば、2005年の「in the direction of sunrise and night light」まで遡ることになるdeadmanのオリジナルアルバム。
2019年に再始動してからは、ミニアルバムも含めて3枚のリテイクベストをリリースしていた彼らですが、遂に復活後の楽曲を中心としたアルバムが発表されました。
配布された「rabid dog」や、MUCCとのカップリングCDに収録された「猫とブランケット、寄り添い巡り逢う産声」など、アルバム制作に向けた予兆は確かにあったものの、実際に現物を手にするまでは信じられないといった心境であったことを告白します。
音楽性としては、19年のインターバルを感じさせない「in the direction of sunrise and night light」の延長線上。
スピードと焦燥感のある「in the cabinet」にて衝撃的に幕を開けると、どこか陰鬱で、だけど感受性は繊細で、要所要所で前衛的な展開が続いていきます。
言葉はわからないけれど心を揺さぶられる洋画のような映像美を、サウンドだけで体感するような作品だな、と。
強いて比較するなら、跳ねるような楽曲、躍動感のある楽曲も増えてきた印象で、モノクロ映画から、アングラなミュージカルに媒体が変化したような。
ずっしりと沈み込む精神面での重さが薄れた代わりに、月並みの言葉ではあるものの、ライブ感が増しているのですよ。
推測ではありますが、解散を目前にして作品としてのクオリティを高めるのか、ライブで育てることも念頭に楽曲を制作するのか、というスタンスの違いが影響しているのかもしれませんね。
最初の3曲で、攻撃性を打ち出したのが巧み。
全体を俯瞰すると、そこまで激しさだけでは押していないにも関わらず、ゾクゾク感を高める効果があります。
そして、それがあるからこそ、リードトラックである「静かなくちづけ」が効く。
切ないミディアムナンバーが、より引き立ったと言えるでしょう。
ハイブリッドだと感心したのは、「零」。
初期のdeadmanに見られたBUCK-TICKからの影響を、あえて強く打ち出している楽曲ですが、ゴスの要素だけではなく、ポップな方向でB-Tを意識することで、両方の時代を繋いでいる。
同時リリースとなったリテイクアルバム「Living Hell」とのギャップを埋めつつ、アルバムの流れを損なわない絶妙なテイストでした。
keinとの並行稼働となったことで、差異化としてダークな楽曲を避けた部分もあるのかな。
その分、強みであるシアトリカルなパフォーマンスが強まっているので、彼らの中で住み分けはしっかり出来ていそう。
良い意味で気負い過ぎておらず、deadmanの現在地を示している1枚です。
<過去のdeadman(DEADMAN)に関するレビュー>
「I am here」「I am here-disc 2-」
in the direction of sunrise and night light
701125+2
雨降りの向日葵
no alternative