I am here/deadman
1. 向日葵
2. quo vadis
3. 溺れる魚
4. monster tree
5. ドリスからの手紙
6. 体温
7. 受刑者の日記
8. re:make
9. 蟻塚
10. 鐘は鳴る
I am here-disc 2-
2019年に再結成されたdeadmanによる、リテイクベストアルバム。
一般流通盤と、会場通販限定盤、2種類でのリリースとなっています。
一般流通盤は、15年ぶりの新曲となった「鐘は鳴る」を含む全10曲。
会場通販限定盤は、「I am here-disc 2-」と題され、収録曲がすべて異なる全5曲。
1曲差し替えレベルの複数タイプ販売だと、両方買うか、片方だけ買うかで悩むものですが、ここまではっきり違いを見せてくれると、判断しやすいのではないでしょうか。
ライブの本編とアンコールのような関係性と言え、別作品でもあり、同一作品でもある面白い作品群になりましたね。
Vo.眞呼、Gt.aieの2人での復活。
再結成以降、ライブ活動はサポートメンバーを加えて行ってきましたが、本作は、2006年の解散時のメンバーであるBa.kazuya、Dr.Tokiを招いてレコーディングを敢行。
収録曲も、ファン投票をベースに、この4人で音源化していなかった楽曲という目線を加えて決定したという経緯もあるようで、まさに過去と現在を繋ぐ作品になったな、と。
アレンジについては大きく変えず、あくまで解散時のメンバーでのdeadmanサウンドを再現することに特化。
15年越しにはなりましたが、ライブで育ててきた楽曲をパッケージしたと捉えることもできそうです。
一般流通盤でまず驚かされるのは、「quo vadis」や「溺れる魚」での狂気性。
もはや、歌唱ではなく演技というほうがしっくりくるのでは、という眞呼さんのパフォーマンスは、ブランクによって衰えるどころか、年齢を重ねて深みを増しているのですよ。
表現のベクトルこそ異なりますが、メランコリックな歌モノである「体温」でも、それを強く感じることができるかな。
発せられる言葉ひとつひとつに重みがあり、正攻法のスタイルでもリスナーを圧倒できる表現力の高さを証明。
カオティックに攻める「re:make」や、圧巻の世界観で飲み込む「蟻塚」など、代表曲も正当にレベルアップしているといったところで、まったく隙がありません。
そして、本作において避けて通れないのは新曲の「鐘は鳴る」でしょう。
グルーヴィーなベースに寄り添いつつも、個性が隠し切れないaieさんのギターセンスは健在。
捉えどころのない独特のリズム感も、間違いなくdeadmanの楽曲であることを示していました。
意外だったのは、キャッチーに広がっていくサビ。
ともすれば邪道と評価される可能性もありそうですが、期待を裏切ることで期待に応える彼らのスタイルを思えば、絶妙なバランス感覚で届けられた名曲であると、シンプルに受け止めたいところです。
会場通販限定盤こと「I am here-disc 2-」は、個の強い楽曲を並べてきた印象。
ファン人気の高い歌モノと、混沌とした楽曲を交互に送り込み、ラストはストレートなロックンロールでなぎ倒す「_701126」で、臨場感を演出しています。
「盲目の羽と星を手に」や「桜と雨」は、待望の再録。
配布CDとしてレア度が高かった「bodybag No.」がここに入ったのも嬉しい限りで、このラインナップを見れば、曲数が少ないからといって聴かない手はないのでは。
特に、グルーヴ感の増した「盲目の羽と星を手に」には痺れました。
流れが良く、駆け引きが上手い「I am here」と、曲の粒が大きい「I am here-disc 2-」。
それぞれ、フルアルバム、ミニアルバムである意義が見える完璧な仕上がりです。
願わくば、パッケージで曲順通りに聴いてほしい作品。
<過去のdeadman(DEADMAN)に関するレビュー>
in the direction of sunrise and night light
701125+2
雨降りの向日葵
no alternative