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kranke/kein

 

1. kranke

 

23年ぶりの全国ツアーにて販売された、keinの会場限定シングル。

 

2000年に配布された楽曲を、現メンバーでリレコーディング。

オリジナルポーチに封入される形で、裏面に歌詞が掲載されたポストカードとCDがセットされています。

3分弱で駆け抜ける、攻撃性に特化したハードチューン。

当時は東名阪での配布だった中、本作は、札幌から福岡まで8か所をまわる全国ツアーでの販売。

作品の位置づけ的に流通に乗らないのは仕方ないとして、より多くのファンに届けることができたと言えるでしょう。

 

アレンジについては、原曲をある程度踏襲するスタイル。

ソリッドさを纏ったまま、最後まで攻め切ります。

一方で、デジタルなエフェクトや、歌い回しには変化が見られ、Aメロの早口の部分やサビの掛け合いにおける間合いは、オリジナルを聴き込んでいるほど戸惑うことになったのでは。

 

もっとも、変化を拒絶するなら再録をする意味がないわけで。

よりライブでの再現性の高い構造になっていて、2023年におけるkeinをパッケージする意味では、きっとこれが正解なのですよね。

解散を目前に、ライブでの成長よりも作品としての完成を求めたオリジナルとのスタンスの違い。

こういう形で、まだまだライブをやるよ、というメッセージを届けてくれるのがニクいなと。

 

1曲入りとはいえ、この仕様で1,000円。

ロープライスでハイパフォーマンスを実現してくれるのは、こんなご時世だからこそ、余計にありがたいです。

 

<過去のkeinに関するレビュー>

破戒と想像

木槿の柩(2023)

気管支カニューレと自失願望
朦朧の実 

自責と蠱毒

木槿の柩