Quiet/RENAME
1. millions
2. DownTown
3. Serenade
4. QUIET
Gt.タイスケ、Dr.ジェッツが加入して5人編成となったRENAMEのEP。
作詞はVo.AKIRA、作曲はGt.中西信剛がすべて担当。
その意味では、新メンバー加入による大きな音楽性の変化はなく、引き続き大人びた色気のある楽曲を強みとして打ち出しています。
しかしながら、新しい血液が加わったというのが、はっきりと理解できたのでは。
ロシア民謡を下地にして、ヴィジュアル系版「ドコノコノキノコ」とも言えそうな「millions」を皮切りに、現実のようで非現実的なパラレルワールドにどっぷり入り込んで、抜け出せなくなる没入感。
たった4曲しか収録されていないとは思えないほどの濃厚な世界観が味わえるのですよ。
「DownTown」では、変拍子の複雑なリズムが自然に溶け込んでいる様子に、夢の中ではおかしな出来事も当たり前だと受け入れてしまっている感覚がオーバーラップ。
"愛はまぼろし"という歌詞のフレーズも、意味深に聴こえてきます。
ギターのフレーズが強調され、作中もっとも疾走感を求める「Serenade」は、時代錯誤とも思える歌謡曲風のアプローチがかえって倒錯的な印象を強めていました。
EPのバランス的に、アッパーチューンとしての役割も求められるところ、ここまでレトロに寄せる胆力は見事。
そして、それがしっかりハマっているから、これまた見事ですね。
ラストの「QUIET」は、バンドアレンジにおけるセンスの良さを洗練させた壮大なナンバー。
シンプルなフレーズの重なりで、こうも広大な世界を描けるとは。
AKIRAさんの渋く艶やかな歌声は、アダルトな魅力に包まれている一方で、純粋な少年性が透けて見えるのもポイント。
夢から現実に戻ってきたとしても再び夢を描こうとする、愚直だが清々しさのある精神を、すっかり大人になった彼らが演奏するからこそグッときてしまうのです。
ともすれば重厚とすら思えるのだが、実際は14分程度。
大きな物語を経験したはずなのに、それしか時間が進行していないということは、やはり僕らはパラレルワールドに迷い込んでいるのかもしれない。
そんなトリップを味わえる1枚。
<過去のRENAMEに関するレビュー>