Automata/Petit Brabancon
1. mind-blow
2. 孤動
3. Loser
4. surely
5. Common destiny
6. Miserable
Petit Brabanconによる6曲入りの1stEP。
意図されたものではないようですが、Gt.ミヤさん、Gt.antzさん、Dr.yukihiroさんが2曲ずつ楽曲を持ち寄った形。
初期衝動をパッケージすべく、ハードコアに仕上げた「Fetish」に対して、振れ幅を示すのがこの「Automata」と言えるでしょう。
それにより、作曲者の癖が活きた部分もあり、今後、Petit Brabanconとして更に深化できそうな部分もあり。
なるほど、コンセプトのあるアルバムではなく、楽曲を集めたEPという形態がしっくりくる作品です。
民族音楽とインダストリアルを混ぜ合わせたようなインストチューン、「mind-blow」で幕を開けると、リードトラックである「孤動」へ。
この「孤動」が、彼ら流のポップさを浮かび上がらせているから衝撃なのです。
軽快なリズムと、メロディアスな展開。
今の京さんが、ポップロック的なメロディを歌っているだけでもたまらないのですが、イントロのギターはBUCK-TICKの代表曲、「悪の華」のリフを転用。
明確に90年代のヴィジュアルシーンをオマージュによって取り込んでおり、気付いた瞬間にテンションは爆上がりですよ。
それで行くと、yukihiroさんによる「surely」も、当時のニューウェーブを下地にしているような空気感。
こんなにも不穏なデジタルサウンドにノスタルジーを感じることができるのは、音楽好きの中でもニッチな層なのでしょうが、Petit Brabanconのリスナーに限れば、かなり打率は高かったのでは。
これまで築き上げてきた音像を活かそうとする「Loser」、「Common destiny」は、antzさんがコンポーズしたナンバー。
ラウドサウンドに、マニアックなフレーズやデジタルな質感を与えて、攻撃性や破壊力を次のフェーズに進めようとする意図も汲み取れます。
ラストは、再びメロディアスな「Miserable」。
ただし、要所要所でラウドなアプローチが持ち込まれていて、初期衝動の延長線上とも受け取れるのが面白いところ。
イントロを聴くだけで、これはミヤさんの作曲だ、とわかるだけの個性を放ちつつ、京さんの歌が入ると印象が変わっていくので、昇華の瞬間に立ち会っているような、そんな感覚を味わえました。
言語化が難しいものの、パブリックイメージ的に求められていた音楽に近いのかな、と。
「Fetish」が刺さらなかったリスナーも含めて、これは聴くべき1枚です。
<過去のPetit Brabanconに関するレビュー>