HELIOS/H.U.G
1. The Wonderful Visit
2. HUG
3. DROP
4. HEART
5. DON‘T DOUBT
6. LOVE THAT NEVER ENDS
7. BUTTERFLY
8. BLOOD PIN
9. WHO IS THE ROMEO
10. SEEDS
11. Breath of the Souls
ex-D’ESPAIRSRAY、AngeloのGt.Karyuを中心に結成されたH.U.Gの1stフルアルバム。
正式メンバーとして集められたのは、Vo.ryoとMp&Key.横山和俊のふたり。
事実上、TAGにKaryuさんが加入した形になりますが、ex-Kagrra,のBa.NAOKIさんとPIERROT、AngeloのDr.TAKEOさんがサポートメンバーとして名を連ねており、バンドサウンドでのアプローチとなっているのが大きな違いと言えるでしょう。
留意点としては、本作においては、レコーディングにNAOKIさんは参加しておらず、ドラムも打ち込みであること。
ただし、Ni~ya (NIGHTMARE)、祥平 (アルルカン)、ZERO (ex-D’ESPAIRSRAY、THE MICRO HEAD 4N’S)、kazu (ex-蜉蝣、gibkiy gibkiy gibkiy)、MASASHI (Versailles)、Яyu (Ashmaze.)、燿~yo~ (摩天楼オペラ)と、豪華なベーシスト陣が揃えられており、「BUTTERFLY」ではTAKEOさんがプログラミングを担当。
ミックスエンジニアには、ex-Kagrra,のSINさんや、ギルガメッシュのЯyo Trackmakerさんの名前もあって、見劣りしない作品になっているとは言えそうです。
作曲においてイニシアティブをとっているのは、Karyuさん。
SEを経て、3人が揃ってのサウンドとして最初に展開されるセルフタイトル、「HUG」から、もうたまりません。
どこかゴシックな雰囲気のあるラウドチューンは、D’ESPAIRSRAYからの継続性を連想させるのですが、キャッチーさをもたらすサビにおいては、Angeloで得たものを還元しているな、と。
そして、ゴシックなサウンドにおけるクリーントーンと咆哮の使い分けについては、ryoさんの十八番。
インダストリアルな質感を強めたアレンジには横山さんの色も感じられ、Karyuさんの世界観を表現するために求められたのがこのふたりだということに、圧倒的な納得感を与えているのですよ。
実験的なアプローチもふんだんに盛り込まれていて、ryoさんや横山さんに引っ張られて、幅を広げるきっかけになっているのも面白い。
浮遊感のある「LOVE THAT NEVER ENDS」などは、作曲者のクレジットを見るまで、横山さんの曲だと思っていたほど。
ハードに触れる楽曲もあれば、メロディアスに展開されるナンバーもあり、かといって散漫にならない掘り下げも見事です。
縦にも横にも広い、H.U.Gのサウンドの包容力たるや。
その極めつけは、「SEEDS」でしょうね。
美しくもあり、激しくもあり、何度聴いてもその表情が一定ではない不思議な楽曲ですが、妙な心地良さを生んでいました。
ライブを重ねていく中で馴染んでいくであろうNAOKIさんとTAKEOさんの演奏による完全版も聴いてみたい、というのは贅沢だろうか。
ゲスト陣の個性を聴き比べる本作も名作である、というのは言及したうえで、ライブ盤でも良いのでフルメンバーでの音を残してほしいな、と思ってしまいます。