BLACK SWAN/fuzzy knot
2. Hello, Mr.Lazy
2. 遠隔Reviver
3. カミカゼスピリット
4. 哀歌-elegy-
5. Inferno
シドのGt.ShinjiとRayflowerのVo.田澤孝介によるユニット、fuzzy knotの1stミニアルバム。
これまではポップで切ないイメージを押し出してきた彼ら。
しかし、本作で表現しているのは、ダークな側面。
キャリアが長いふたりですが、確かに、正面を切ってダークに徹した作品というのはあまりなかったのですよね。
白髪に黒服というヴィジュアル面もさることながら、シリアスでスリリングなサウンドワークは、更に表現の幅を広げるきっかけになりそうです。
作品トータルでのバラエティ性は保ちつつ、ソリッドなギターがアグレッションを高めているのが特徴。
1曲目の「Hello, Mr.Lazy」から、スピード感を意識したハードな演奏がたまりません。
田澤さんの歌唱についても、ハイトーンのキレが抜群。
鋭さをもたらすと、ダンサブルなアプローチをとりつつも硬派なロックサウンドを彷彿とさせた「遠隔Reviver」、激しさの中に、どこかレトロなフレーズにShinji節を感じる「カミカゼスピリット」と、それぞれの武器は異なるものの、コンセプトに沿った楽曲を次々と叩き込んできます。
ロッカバラード「哀歌-elegy-」は、翳りと哀愁のバランスが絶妙。
アクセントとして空気を整えると、最後に待ち構えるのはリードトラックである「Inferno」。
90年代のヴィジュアル系ロックという触れ込みではありますが、退廃的な前半のメロディは初期のシドにも置き換えられそう。
中盤以降はメタリックな質感を強めており、サビは加速度を増しながらもキャッチーに。
田澤さんが圧巻すぎて、あまり90年代っぽさは感じませんが、なるほど、これをコアに据えるならダークな作品になってしかるべしでした。
ある意味でコンセプチュアルと言えるので、ガラっと変わることも覚悟していましたが、思いのほか"らしさ"を感じることができますね。
インディーズ中期ぐらいのシドの作品となっていてもおかしくなさそうなラインナップ。
その中で、「遠隔Reviver」だけはこれまでに見せたことがない引き出しだな、と感じたので、新機軸となってくると面白そうだな。
縛りを入れることで、fuzzy knotの可能性を追求したと言える1枚。
<過去のfuzzy knotに関するレビュー>