五月花/鐘ト銃声
1. 五月花~躑躅~
2. 五月花~皐月~
3. 五月花~柘榴~
通販限定でリリースされ、即日完売となった鐘ト銃声のシングル。
「五月花」をテーマにした3曲を収録。
前作にも「さつき」という楽曲が収録されていますが、関連性はあったりするのでしょうか。
花の名前として"皐月"を用いる場合、躑躅の一種である"皐月躑躅"を指すのが一般的だと思うのだけれど、あえて「五月花~躑躅~」とは別に「五月花~皐月~」を持って来たところに、深い意味を勘繰ってしまいます。
ゼロ年代的なエログロナンセンスを体現した楽曲が多かった彼らですが、本作においては、プリミティブな王道に挑戦。
語り調のパートを含める等のギミックはあるものの、彼らにしてはストレートと言えるのでは。
ポップなリフと、キャッチーなメロディを、コーラスワークによって幻想的な要素を加え、白系的なサウンドに昇華させた「五月花~躑躅~」、マイナーコードで疾走しつつ、ギターのアルペジオで耽美性を浮かび上がらせる「五月花~皐月~」、激しくもメロディアス、クリーントーンのギターソロで盛り上げる「五月花~柘榴~」。
三者三様ではありますが、しっかりツボを押さえていて、なかなかどうして曲の良さが際立っています。
何気に器用なバンドであると思い知らされますね。
幻想的なイメージを与えようとしたのか、「五月花~躑躅~」で軽さが目立ってしまい、バランスにムラがあるように聞こえてしまうのがもったいないかな。
気持ち悪さの表現も含めて、歌唱スキルが安定しているだけに、サウンドプロダクションが向上してくれば、ブレイクスルーも見えてきそう。
「小林アキヒトの一生」シリーズで見せてきた変態性に加えて、正攻法でも戦えることを示したという意味では、確実にステップを踏んだと思わせる1枚です。
<過去の鐘ト銃声に関するレビュー>