「灰景の空」/鐘ト銃声
1. 灰景の空
「君ハ本能」/鐘ト銃声
1. 君ハ本能
「真夏の扉」/鐘ト銃声
1. 真夏の扉
2022年1月1日に突如として配信を開始。
3タイトル同時に解禁された鐘ト銃声のデジタルシングルです。
いずれも、もともとYouTubeで公開されていた楽曲たち。
同じく元旦リリースとなったミニアルバム【小林アキヒトの一生:破】への収録が見送られたのは、コンセプト的な問題でしょうか。
パッケージ作品ではなく、単発シングルとして、ストリーミング/ダウンロード販売が開始されました。
「灰景の空」は、レトロなサウンドで突っ走る哀愁ナンバーですね。
どことなくバンカラなスタイルで展開されるノスタルジー。
昭和の空気感と、切れ味鋭いダークなギターの相性は抜群で、間奏で寸劇がはじまるところまで含めて、白塗り+学ランというヴィジュアルイメージにマッチしているのでは。
やや音のバランスが悪いのが難点ですが、ハマるリスナーは多そうです。
「君ハ本能」は、アングラ感を強く押し出したダウナーチューン。
シンプルながら印象的なリフが、じわじわと緊迫感を煽ると、吐息混じりに様々な声色を繰り出すヴォーカリゼーションが、マニアックでドロドロとした雰囲気を生み出しています。
最近ではニッチになった感のある、エログロナンセンスを突き詰めた音楽性。
蜉蝣やメリーといったバンドが開拓したスタイルを、令和にアップデートしたハイブリッドと言えるでしょう。
青春ポップスとも言える爽やかさに包まれているのが「真夏の扉」。
懐メロ調のメロディには甘酸っぱさすら感じさせますが、歌詞を深掘りすると、やはり彼らの世界観でした。
らしくないように見えて、とことん鐘ト銃声らしい。
既に確固たるアイデンティティーが出来上がっているのだな、と、邪道なサウンドで逆説的に証明された形ですよ。
この路線、まだまだ掘り進める余地がありそうです。
確かに"小林アキヒト"シリーズとは異なるアプローチ。
ただし、それぞれが別のベクトルで鐘ト銃声らしい楽曲に仕上がっていました。
ミニアルバムの告知に力が入れられたこともあり、こちらのリリースはさらりと流れてしまった感がありましたが、ある種、ミニアルバムに足りないピースを埋める作品群と捉えてみても良いのかと。
音質については改善の余地があるも、このコテオサ感は癖になります。
<過去の鐘ト銃声に関するレビュー>