5th狂逸インパクト / メトロノーム | 安眠妨害水族館

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5th狂逸インパクト/メトロノーム

 

DISC 1

 

1. 5th狂逸インパクト

2. 世界はみんな僕の敵

3. 強くて NEW GAME

4. 暗い baby

5. 魔法

6. おやすみ世界

7. デリート

8. 脳内消去

9. とある事象

10. PSYCHO-ENEMY

11. まだ見ぬ世界

12. 孤独氏

13. 幣帚トリムルティ

14. Catch me if you can?

15. 血空

16. 解離性同一人物

 

DISC 2

 

1. 華胥之夢

2. 汚レテ汚レタ時刻二

 

2021年にメジャーデビュー5周年を迎えたメトロノーム。

本作は、約2年ぶりのリリースとなるライブ・ベスト・アルバムです。

 

Club Mixaで開催された配信ライブ、「MAJOR DEBUT 5TH ANNIVERSARY SPECIAL ONLINE LIVE 2021 "5th 狂逸インパクト"」 から16曲を厳選したライブ音源に加え、久しぶりの新曲を収録したシングルも付属する2枚組となっています。

会場となったClub Mixaは、キングレコードが運営するライブハウス。

セットリストも、キングレコードから発表した楽曲を中心に構成しており、1本のライブから楽曲を厳選したという意味だけでなく、メジャーデビュー以降の代表曲をライブアレンジでまとめたという意味でも、ライブ・ベスト・アルバムと言えるのでしょう。

 

歓声や拍手などが入ってこない、無観客公演。

サウンドはクリアに響く一方で、生で演奏する息遣いもパッケージされていて、ライブ音源とスタジオ音源の中間のような感覚ですね。

曲の繋ぎやMCなどが編集されていることもあり、オリジナル音源を聴き込んでいなければ、ライブ盤だということにも気付かないかもしれない。

まさに、コロナ禍だからこそのライブ盤となりました。

 

聴きどころは、やはり躍動感。

デジタルサウンドに特化したテクノパンクを武器とする彼らは、スタジオ音源ではエレクトロなギミックを用いた演出も多く、ライブではアレンジを変えることもしばしば。

Vo.シャラクさんは、オートチューンに頼らず歌い回しに工夫をしていたり、Gt.フクスケさんのコーラスワークもはっきり聞こえてくる。

Ba.リウさんについては、曲によってベース本体や弾き方を細かく変えているようで、むしろライブのほうが繊細さを意識しているなど、とにかく聴き比べたときの発見が面白いのですよ。

サポートドラムとしてCASCADEのHIROSHIさんが参加しているのも、演奏にライブ感を与えており、打ち込み中心だった「まだ見ぬ世界」などは大きく印象を変えたな、と。

 

DISC 2に収録された新曲となる「華胥之夢」は、リウさんが作詞・作曲を担当。

やわらかいイメージを与えるミディアムチューンで、中華的なサウンドワークが新鮮です。

中盤以降から存在感を増してくるギターの音色も特徴的で、枯れた雰囲気を与えるフレーズが、どこか達観しているような曲調とマッチ。

こうくるか、と唸らせる新境地的な楽曲に仕上がっていました。

 

「汚レテ汚レタ時刻二」は、フクスケさんによるスリリングなナンバー。

お得意のチップチューン的なピコピコ感をまぶしつつ、ベースの音圧を強めに出して、ダークな雰囲気も持たせています。

テンポはそこまで速くないけれど、どこか激しさも包含。

ともすれば軍歌的ないかつさを与える一方で、メロディのひとつひとつはポップに仕立てている不可思議なバランスが彼ららしいな。

久しぶりの新曲で、2曲ともチャレンジングな楽曲というのは意外な気もしますが、まったく守りに入っていないという証でもあるのかと。

 

タイトルに違わぬインパクト。

新たな音楽性も見せてきて、節目の総括とともに、次の展開も面白くなりそうだぞ、と予感させる作品です。

 

<過去のメトロノームに関するレビュー>

確率論≠paradox

廿奇譚AHEAD

CONTINUE

解離性同一人物

1メトロノーム