廿奇譚AHEAD/メトロノーム
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廿奇譚AHEAD【通常盤】
3,240円
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1. 廿奇譚AHEAD
2. 血空
3. 不安の殿堂
4. 回游論
5. 素晴らしい世界
6. 主人公ルート
7. 夜空に舞う花弁
8. 我が為に鳴くパンドラ
9. 孤独氏
10. おやすみ世界
11. 弊帚トリムルティ
結成20周年を迎えるメトロノームのメジャー2ndフルアルバム。
前作から約１年ぶりでのリリースとなりました。
前作「CONTINUE」 が、再起動とともに従来のメトロノームらしさを持ち寄った作品だとしたら、この「廿奇譚AHEAD」は、そこから先を見据えたアルバムとなるのでしょう。
エレクトロ・ポップをベースとした楽曲と、内向的な歌詞という軸となる部分はきっちり残しつつ、これまでにやってこなかったサウンドへのチャレンジや、ソロや別ユニットで培ってきた新機軸のバンドへの還元を、積極的に取り入れたイメージ。
ベテランの域に差し掛かっても、まだまだ進化の余地があることをうかがわせていますね。
お約束となるSE「廿奇譚AHEAD」で幕を開けると、キラーチューンである「血空」に。
軍歌をメトロノーム風に仕上げたようなイントロから、あえてチープさを出した打ち込みと、耳に残るフレーズの応酬。
まずは土台となる音楽性を示して安心感と期待感を高めながら、そこを踏み台にして加速的に幅を広げていきます。
例えば、ミュージカルを意識した構成が面白い「不安の殿堂」や、アコースティックの要素も取り入れた「主人公ルート」。
アクセントの飛び道具として使っても効いてきそうな楽曲なのですが、惜しみなく投入することで、強引に"王道"の守備範囲を広げてしまった感覚なのですよ。
バンドサウンドを強めてヘヴィに仕立てた「素晴らしい世界」にしても、案外思い切ったアプローチをしていると思うのだけれど、アルバムの中だと異質に聴こえない。
"メトロノームなら、これぐらいやるでしょ"というリスナーの信頼を前提とする、メトロノームからリスナーへの信頼。
普段と多少違ったとしてもメトロノームの通常営業、と認識させてしまっているあたり、間違いなく彼らの強みだよな、と。
作曲者の色がはっきり出ているので、ともすればソロ楽曲の寄せ集め的なアルバムにもなってしまいかねない内容。
しかし、そうなっていないのが成長したメンバー３人による絶妙なバランス感覚のたまものであり、メトロノームとして再起動した意味なのだろう。
作曲がBa.リウさん、作詞がVo.シャラクさん、タイトルがGt.フクスケさんという、それぞれの想いを込めたシングル「弊帚トリムルティ」で締めくくるのも象徴的です。
最後の最後で格好良く終わっていくのも、ズルいというか、わかっているというか。
なお、"初回生産限定メト箱"にはMVやトーク番組が収録されたDVD、"初回生産限定廿メト"には、再録によるベストアルバムが付属。
過去にリリースされたベストアルバムが手に入りにくいことを踏まえれば、初心者向けの入門書は本作ということになってくるのかもしれません。
＜過去のメトロノームに関するレビュー＞