解離性同一人物 / メトロノーム | 安眠妨害水族館

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解離性同一人物/メトロノーム

解離性同一人物 解離性同一人物
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1. 解離性同一人物
2. ○△□×
3. メタリア~ノ?ピコリア~ノ!

2009年に無期限活動休止したメトロノームが、2016年に再起動。
久しぶりの音源は、メジャーデビュー作となるシングルとなりました。

収録曲は、メンバー3人がそれぞれ書き下ろし。
メンバーがそれぞれソロ活動やプロジェクトを並行していた中で培ってきた経験を、メトロノームという媒体に落とし込んでいて、新鮮さと安心感を両立した内容になっているのかと。
アプローチは1曲ずつ異なるのだけれど、どれも"メトロノームらしい"と感じるのだから面白いものです。

リードトラックとなる「解離性同一人物」は、Ba.リウさんが作曲を担当。
電子音とバンドサウンドがせめぎ合うような情報量の多さが、実にリウさんらしいですね。
キーボードやテルミンをアクセントとして取り入れつつ、スラップベースのうねりや、挿入されるギターソロなど、各パートの見せ場もしっかり用意。
特に、メトロノームでここまでがっつりのギターソロが聴けるなんて驚きましたよ。
バンド編成である意義を示した点でも、これを1発目に持ってきたのは納得といったところです。

「○△□×」は、Gt.フクスケさんが作詞・作曲したナンバー。
こちらは、ADAPTER。で演奏されていてもおかしくないフクスケ節なのだが、言葉の使い方や歌い回しなど、なんとなくシャラクさんが歌うことを意識したような構成になっているような。
その中で、サビではツインボーカル的なコーラスワークが採用されているのが新鮮でした。
メンバーそれぞれがボーカリストとしても経験を積んできた成果が、新たなチャレンジとして結びついているのでしょう。
ただ休止していただけでなく、武器を増やしていたのだなぁ。

最後の「メタリア~ノ?ピコリア~ノ!」は、Vo.シャラクさんによるコンポーズ。
タイトルから、ピコピコサウンドにメタル的なアプローチを加えた楽曲なのかと思っていたのですが、ピコピコ系ど真ん中。
これ、"メタリア~ノ"は、メタルではなく、メタファーということなのね。
シャラクさんらしいコンピューターミュージックとなっています。
ほんのりコミカルテイストもあって、これも紛うことなきメトロノームだな!と胸が熱くなりました。

何度も言ってしまうけれど、なんで7年間も休止していたの、と思うほど、すんなり個々の音楽性がメトロノームらしさとなって還元されている。
ここ数年の凍結期間中、メンバーのどのプロジェクトでかでファンになったリスナーにも求心力がある楽曲たちだと感じますし、現役時代を知っているリスナーは待ってましたと狂喜乱舞せんばかりのアレンジワーク。
これはたまりませんな。
1発出して終わり、というわけでもなさそうなので、今後の展開にも期待したいところです。

<過去のメトロノームに関するレビュー>
1メトロノーム