終幕の陽炎/LarMia
1. 終幕の陽炎
LarMiaの連続リリース第一弾となるデジタルシングル。
2001年に解散したLar~miaが、2021年にLarMiaとして再始動。
新体制では初の楽曲となったのが、この「終幕の陽炎」でした。
ギミックを多用した演奏に、耽美的かつ退廃的な世界観。
バンド名の表記は変わっても、コテコテ系バンドとしての矜持は変わらず、絶妙なアップデートを遂げています。
まず注目すべきは、要所要所で変拍子のリズムを取り入れた、プログレッシブな楽曲構成。
次々と新たな展開に移り変わっていく複雑性が、ダウナーな楽曲にインパクトをもたらしていますね。
加えて、現役当時の激しさを求めるサウンドと比較すると、メロディへの意識が高まった印象。
ともすれば丸くなったと評価される懸念もある部分ですが、ある種、メタ化されて久しいコテコテ感を、聴きにくさを生むマニアックな構成に置き換えたことで、メロディアス性を強めても、ドロドロと蠢くダークさは損なわれず。
素直になぞると陳腐化しかねない発狂シャウトやツタツタリズムを用いなくても、当時から地続きの音楽性であることを示すのに成功しており、このバランス感覚は見事でした。
フックとなり得るメロディからスタートするのも、現代シーンに対応するためのストリーミング仕様だったりして。
なお、LarMiaのメンバーは、Vo.麗、Gt.瑠叶、Ba.朋の3人。
ドラムには、サポートメンバーを迎えて、生音でのレコーディングとなっています。
一見して、Lar~miaと同じ編成での復活なのですが、ベースの朋さんは、12012や逆しまな歯車を仮面が嗤うでも活動中の塩谷 朋之さん。
Mist of Rouge時代の名義を使って、あえて重ねてきているのだと思われますが、オリジナルメンバーであるemmureeの朋さんは不参加ですので、どうか混乱しないよう。
第二弾、第三弾の楽曲も楽しみ。
古き良きコテコテアプローチを解禁するか、現代シーンを踏襲した新機軸も見られるか。
Lar~mia時代のセルフカヴァーも聴いてみたいですし、今後、定期的なリリースにも期待したいところです。
<過去のLarMia(Lar~mia)に関するレビュー>