誘蛾灯/Lar~mia
1. DE-Lude
2. SINNER
3. 狂哀
4. Vacillate
KEY PARTYに所属していたLar~mia。
本作は、1999年に限定3,000本でのリリースされたデモテープです。
Lar~miaは、Vo.麗、Gt.瑠叶、Ba.朋という編成。
解散後、麗さんはCannival Methodに、瑠叶さんはRIBBONに在籍。
朋さんは、今もなおemmureeにて活動中です。
Noir fleurirのGt.可憐さんによるプロデュース作品。
ダークで退廃的な世界観、ツタツタとしたドラムに発狂シャウト、様式美重視の楽曲構成と、90年代コテコテ系のど真ん中といった音楽性で、飛び抜けた個性はなかったものの、その王道っぷりが根強く支持されているバンドです。
メンバーがその後に在籍するいずれのバンドとも毛色が異なるという点では、"人に歴史あり"的な興味深さがありますね。
A面に収録されているのは「DE-Lude」と「SINNER」。
「DE-Lude」は、冒頭にSEと語りが挿入されているため、全体では6分半と、ハードチューンとしては長尺のナンバーです。
同じフレーズの繰り返しが多く、単調さはやや感じられるのですが、しつこさが残るぐらいに印象を残したということでもあり、ある種の中毒性を高めていく。
強みをはっきりと押し出し、彼らの音楽性が明確化されるというメリットもあるのでしょう。
「SINNER」が3分に満たない歯切れの良いショートチューンなので、結果としてバランスもとれているとも捉えられる。
この「SINNER」の導入部分が、「DE-Lude」と繋がるように無機質なフレーズを選んでいるところも、何気にポイントなのかと。
B面は、「狂哀」、「Vacillate」を収録。
ダウナーでカオティックな「狂哀」は、まさにツタツタ発狂系。
スピード感に特化し、激しさに振り切っています。
それに対して、「Vacillate」はヴォーカルパートもギターパートもメロディアスに展開。
コード進行をなぞるだけの味気ないメロディが続いていても、最後は華やかに、という点でも王道的と言えるのかな。
クロージングも決まって、4曲通しての流れに意識を移しても絶妙な選曲でしたよ。
音質面や、歌唱力、演奏スキルといったクオリティ面については、当時のデモテープということで目を瞑る必要はありますが、アートワークと音楽性が一致していることも、試聴のない時代においては重要なファクト。
期待を超えるほどのインパクトはなくとも、期待外れということにもなり得ず、着実に支持層を増やしていた印象ですな。
アクセントとしてのデカダンなバラードなどを持ってこなかった潔さも、激しさに価値を見出しがちだった当時のリスナー層に評価を得た要因でしょうか。
なお、彼らは、フルアルバムをラストライブにて配布したことでも知られていました。
後に通販対応もあったようですが、当時は情報ツールが限定的だったこともあり、当然ながらレアアイテムに。
流通CDとして、誰もが手に取りやすい作品を残すことが出来ていたら、今でも語られるバンドとなっていた可能性もあるだけに、振り返る機会が損なわれてしまっている現状はもったいない限り。
何かの拍子で配信リリースでもされないかな、と切に願っています。