sea dweller [MERMAID] / ARcaDia | 安眠妨害水族館

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sea dweller [MERMAID]/ARcaDia

 

1. sea dweller [MERMAID]

 

広島を拠点に活動するARcaDiaのデモシングル。

 

本作は、2021年11月に広島SECOND CRUTCHで開催された「Chirolyn★Major Debut 35th Anniversary Tour 2021」のチケット特典となった、1曲入りのCDR。

もともと活動していた90年代と、再結成となった20年代を行き来する音楽性を武器としている彼らですが、本作についても、先着者にはデモテープ版も配布するというこだわりっぷり。

ギミックにおいても、当時のリアルを伝えているところは、スタイルが一貫していると言えるでしょう。

さすがに地方バンドのチケット特典はハードルが高いかと思っていたのですが、期間限定でオフィシャルショップの購入特典として追加配布され、入手することができました。

 

タイトルの表記からもわかるように、過去に発表された「deep sea [SADNESS]」に続く、"sea"シリーズの第二弾。

感情の闇を、深海の闇で置き換えたコンセプト作品となっていて、ARcaDiaのシングルとしては珍しい、ミドルテンポの歌モノ要素が強い楽曲に仕上がっています。

退廃的な世界観と、美しいメロディ。

その背後で、高らかに主張するツインギターが、ときに神秘的に、ときにヒステリックに、楽曲を演出。

まるで海の持つ静の顔と動の顔をサウンドで表現しているようで、この起伏の激しさが、ひとつの聴きどころになっているのではないかと。

 

興味深いのは、ヴィジュアル系特有のドイツ語のカウントアップ。

eins、zwei、drei、vierと、4まで数えるのはお約束通りなのですが、そこから、sechs(6)、neun(9)と続いていきます。

そもそも5以降が登場することは稀であるため、うっかり見逃してしまうそうになるのですが、深読みしたくなる数字の並び。

真意までは掴めないにしても、こんな仕掛けがあると、味わい深さにも繋がりますね。

 

ライブで演奏する前にレコーディングを行った関係上、アレンジなどは変更される可能性があるようで。

いつか、場数を踏んで煮詰められた完成形が、正式音源として届けられる日が来るかと思うと待ち遠しいな。

 

<過去のARcaDiaに関するレビュー>

神ヲ喰ラフ者

deep sea [SADNESS]

背徳症候群