匂わせまくりスティ / JILL-PRINCE | 安眠妨害水族館

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匂わせまくりスティ/JILL-PRINCE

 

1. 匂わせまくりスティ

 

 

配信限定でリリースされた、JILL-PRINCEの7thシングル。

 

和風のサウンドを取り入れ、シリアスな世界観に挑戦した前作「華恋ノナミダ」とは打って変わって、ポップに振り切った楽曲を送り込んできた彼ら。

コンポーザーであるVo.たかひろさんの守備範囲の広さを見せつけたといったところですが、むしろ、こちらの路線の方がJILL-PRINCEらしい気もします。

「匂わせまくりスティ」というタイトルが若者的なワーディングなのかはともかく、来年にはもう使われなくなっているような流行語も積極的に取り込んで、今を切り取ろうとするアプローチ。

アイドルソングの定番をヴィジュアル系に持ち込んで昇華させていて、キャッチー=売れ線というわけでもなくなった時代に、あえてここをバンド形態で突き進むのは、ニッチであるとも言えるでしょう。

 

楽曲は、終始ポップに展開。

キラキラした同期を前面に押し出し、合いの手風の掛け合いや、台詞の挿入など、多人数ユニットに見られるギミックを多く取り入れています。

一方で、急に大人びたサウンドになったり、パンキッシュに疾走したりと、一筋縄ではいかないアレンジ。

サビでは、マイナーコードでメロディアスに、というヴィジュアル系としての王道感も残して、バンドである意味を見出そうと意識しているのかと。

どこか幼さのある声質にも合っていて、融合具合いが絶妙でした。

 

女声での台詞については、桃瀬めたさんが参加。

カヴァーが可能なように、歌詞やカラオケ音源も配布されていて、SNSとの親和性を高めている印象です。

アイドル路線となると、ロック界隈では風当たりが強い部分もあるでしょうが、当たれば大衆性を手に入れやすく、現代シーンに欠けているピースとなり得るのかも。

更に割り切ったV系ヴォーカルユニットも登場している中、バンドであることを武器にできるか。

現時点ではあくまで方向性のひとつであり、今後、彼らがどこにアイデンティティを構築していくのかにも注目したいところですね。

 

<過去のJILL-PRINCEに関するレビュー>

華恋ノナミダ

Diamond Prince