華恋ノナミダ/JILL-PRINCE
1. 華恋ノナミダ
配信限定でリリースされた、JILL-PRINCEの6thシングル。
Vo.たかひろさんが作詞・作曲を担当した本作は、和をモチーフに採用したアッパーチューン。
全編的に和楽器のフレーズが取り込まれているのが特徴です。
特に目立つのが、Ba.四葉さんが奏でる三味線。
打ち込みではなく、生演奏でのサウンドで再現されているだけでも話題性抜群なのですが、その特性上、リード的なフレーズを常に弾き続けている印象で、世界観の構築にも大きく貢献していました。
面白いのは、メロディそのものは和に偏りすぎていないこと。
サビについては、キャッチーなポップロックを得意とするJILL-PRINCEの王道的な展開と言え、ストレートに疾走。
あくまで彼らの軸になる音楽性を主眼に置いており、味付けだけを和楽器をフィーチャーしたアレンジで、といったところなのですよ。
和風バンドも飽和してきて、淘汰される時代。
パターンが限られる和メロで個性を作るのが難しくなる中、ヴィジュアルイメージやサウンドアプローチのひとつとして、和を取り入れる寄り道感覚が、彼らにとってはハマっていたように思います。
兎にも角にも、テコ入れとして大幅な路線変更を加えたわけではなさそうで、ポップなメロディに軸は残したまま。
むしろ、生の三味線という隠し玉により、新たな武器を見出したというインパクトのほうが強いでしょう。
このシングルで得た経験は、今後の展開にも活きてきそうな予感。
後から振り返ったときに、ひとつのきっかけとなっていれば良いな、と期待が高まる1曲です。
<過去のJILL-PRINCEに関するレビュー>