Style/wyse
1. 離さないで
2. D&D
3. You gotta be
4. 譲りたくはない想い
5. It's not like me, It's not like you
リテイクシリーズ第2弾企画。
ライブ会場とオフィシャル通販限定でリリースされた、wyseのミニアルバムです。
メンバーセレクトにより過去の楽曲をリテイクするプロジェクト、「TREE」シリーズの完結から早3年。
新プロジェクトとして始動したのが、この「Style」でした。
「TREE」のようにサブタイトルが付けられていないので、単発の企画なのか、シリーズ化していくのかは現時点で判断できないものの、バンドの成長とともに、楽曲の成長を体感できる機会を多く与えてくれるバンドであるな、と。
本作には、1999年から2003年までに発表された楽曲から5曲がセレクトされています。
初っ端から意外な選曲となったのは、「離さないで」。
というのも、既に「TREE」シリーズでも再録されており、このたび再々録となるのですよ。
再結成からの数年だけで、更に進化を遂げたということなのか。
「TREE」ではなく、「Style」としたのは、実はこの楽曲の存在が大きいのかもしれません。
前回の再録は、ソリッドなロックテイストを残した正当進化でしたが、サビからのスタートに切り替わるなど、構成もアレンジも大きく変貌させた印象。
音数を増やして大人びた印象に仕上げており、なるほど、同じリテイクといっても、確かに違った感触です。
続く「D&D」は、デモテープ「Lazy mind」から待望の初CD化。
衝動的なスピード感は維持しつつ、演奏のタイトさや迫力を見せつけるアレンジになっており、逞しさを感じさせる。
個人的には、オリジナルを制作当時のwyseは、若さ故の青臭さも魅力であり、シンセを用いた透明感のあるイントロからの導入が肝だと思っていただけに、別物になった感はどうしても拭えないのだが、今の彼らが演奏する前提においては、これが最適解というのも納得。
時間の流れを味わう楽曲として、じっくり聴き比べながら楽しみたいですね。
「You gotta be」と「譲りたくはない想い」は、いずれもメジャーデビューアルバム「the Answer in the Answers」から。
前者は、意表を突くファンキーなイントロを残し、ダンサブルな楽曲として振り切って。
後者は、彼ららしい沁みるバラードとして、ギターソロをチェロのフレーズに差し替えるなど、あたたかみを増しています。
どちらも、本当はこういう表現がしたかったのだろうな、という完成形に近づいた感覚。
アプローチの幅や、技術の向上、あるいはサポートミュージシャンのアイディアによって、楽曲のタイプとしては真逆であるも、こうも深みを増したのだな、と。
最後は、三部作シングルの第一弾として2001年にリリースされていた「It's not like me, It's not like you」。
シンプルなポップロックこそ、成長の証が見て取れる。
ストレートな表現でのリテイクとなりましたが、それで説得力が増強されているのだから、面白いものです。
5曲ということで、やや物足りなさが出るものかなと予想していたのですが、なんだかんだ、アルバムを聴いたぞ、という充足感もあり。
その要因として、この楽曲が大団円を演出しているというのもあるでしょう。
なお、ex-Janne Da ArcのDr.shujiさんがサポートを担当。
タイトなドラムプレイは本作でも健在で、聴きどころのひとつにもなっていました。
20年経っても、色褪せない楽曲たち。
変化をすべてを受け入れろ、という押しつけがましさもなく、素直に楽曲の奥行きを感じていたい1枚です。
<過去のwyseに関するレビュー>
Important order 20+4
TREE-Catharsis-
TREE-Flame-
Surely in the mind
TREE-Evolve-
空と海が繋がるあの場所まで
Imaging
Vision
Beat