TREE -Glow- / wyse | 安眠妨害水族館

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TREE -Glow-/wyse


1. 離さないで
2. Distance
3. ビー玉
4. imply
5. Air
6. 心の隙間

"wyse Retake Album 「TREE」 series"も、遂に4枚目。
本作は、ボーカリストである月森さんがセレクトした楽曲で構成されています。

過去のシリーズにて、計18曲をセルフカヴァーしてきているわけですから、選択肢がある程度限定された部分はあるのかもしれませんが、収録されたのは2002年~2004年に発表されたものに絞られている。
これは、少年だったwyseが、大人になっていった時期。
シリーズの最後にこれを持ってきたことについて、色々とストーリー性を勘繰りたくなってしまいますね。

「離さないで」は、ミニアルバム「Beat」から。
シリアスに迫るAメロ~Bメロと、ゆったりと広がるサビのギャップにより緩急をつけていくロックナンバーなのですが、エッジが効いたギターが際立って、それがより効果的になりました。
生き急ぐように突っ込んでいたリズムについても、スリリングさはそのままに安定感を増していて、1曲目から成長を見せつけてくれます。
再結成するまではラストシングルとなっていた「Distance」は、疾走感溢れるキャッチーな楽曲。
ツインボーカルを前提とした流れるようなメロディは、現在の彼らの基盤となっている部分でもあり、ここに収録されたのは嬉しかったな。

「ビー玉」は、イントロのフレーズが差し変わっていて、オリジナルにあったアルペジオはAメロから登場してきます。
バラードは、歌い方などで印象が変わってしまうこともあるから不安もあったのですが、感情の込め方に深みが増した感覚。
実力の向上も反映されて、これは良い再録であった。
デジタルサウンドによるイントロが新鮮だった「imply」は、現代の技術によりレベルアップ。
彼らなりのパーティーチューン「Air」も、はっちゃけ度合いが増してライブでの熟成がここに反映されたといったところでしょう。

そして、ラストの「心の隙間」。
"隠れた名曲"にあたる楽曲だったはずだが、まさかこれでシリーズを締めくくってくれるとは。
これがリテイクされているだけで買いでしょ、という期待は、実際に聴いてみても変わらず。
淡々としているからこそ、その裏に込められた感情の渦にグッときましたよ。

曲調はバラバラなのだけれど、ボーカリストの選曲ということで、歌っていて気持ちが良いナンバーを集めたのかな。
オリジナルのリリース時期は、自分がwyseを夢中で聴き込んでいた時期と少しズレるものの、だからこその再発見も多くて、楽しんで聴くことができました。

兎にも角にも、 「TREE」 シリーズを、3年かけてきちんと仕上げてくれたことに感謝。
本当に完結するのか、と企画が発表されたときは半信半疑だったのを謝りたい。
過去を振り返って、未来に繋ぐ。
次は、今のwyseでのアルバム作品にも期待したいところです。

<過去のwyseに関するレビュー>
Important order 20+4
TREE-Catharsis-
TREE-Flame-
Surely in the mind
TREE-Evolve-
空と海が繋がるあの場所まで
Imaging
Vision
Beat
DEAD LEAVES SHOWER
With...
Lime
Lazy Mind