The Wasteland/NOCTURNAL BLOODLUST
1. The Wasteland
2. FACELESS
3. PROPAGANDA
4. REM
5. Left behind
6. Feel myself alive
再びの復活劇となるNOCTURNAL BLOODLUSTのミニアルバム。
初回生産限定盤は、デジパック仕様となっています。
メンバーチェンジを余儀なくされた中、2019年にGt.Linさんが加入し、活動再開を決定。
しかし、ライブ目前というタイミングで彼らを待っていたのは、そのLinさんが逮捕されるというまさかの展開でした。
結局、メンバー加入や復活は仕切り直しとなった形で、この一連の流れに対しての批判はあるにせよ、そこからもう一度立ち上がるメンタリティについては、素直に賞賛に値するのでは。
さて、そのNOCTURNAL BLOODLUSTによる、満を持しての再復活。
Gt.Valtzさん、Gt.Yu-taroさんの2名が加入となり、配信シングルを3曲発表。
加えて、その3曲は含まない形で制作されたミニアルバムが、この「The Wasteland」となります。
新メンバーの二人も作曲を担当しており、正式発表に至る前から、しっかりとコンビネーションを構築してきたことが伺えますね。
気になる音楽性は、原点であるメタルコアに回帰している印象。
楽曲によって当然アプローチは変えているも、ブラストビートでスピードダッシュを図る「FACELESS」をはじめ、サウンドはとにかくヘヴィーでラウド。
多弦ギターを駆使した重厚なリフは、たとえインパクト重視のフレーズであったとしても、ずっしりと音像を支えています。
Vo.尋さんの多彩なシャウトも健在。
声も凶器の一部となった極悪さを惜しげもなく披露しており、強靭さは、かなり上ブレしたのかと。
また、外の畑からメンバーを連れてきたこともあってか、蓄積してきたV系バンドとしてのお約束は、一度フラットに戻した感があるでしょうか。
メロディの乗せ方がだいぶシンプルになっていて、純粋に声を乗せたときの響きが気持ちいいラインを探り当てている感覚。
キャッチー性に固執しないため、ある意味、次の展開が読めないワクワク感が増したと言えるのかもしれません。
なお、前作「UNLEASH」は、コミック感を強めに出して、逮捕騒動とは別のベクトルで賛否両論巻き起こしていたのだが、その要素は見る影もなく。
確かに、リリース後にライブで成長させるフェーズを設けることができなかったし、メンバーが変わって音楽性を変えやすいタイミングではあるので、なかったことにしやすい作品ではある。
一方で、ただ黒歴史にするだけでは、一貫性のなさとして受け止められるリスクもあるのだろう。
その点で、源流レベルにまで戻すというのは、悪くない判断。
ゼロベースからのスタートのアピールにもなるし、結果が出なかったから戻したという"ダサい感じ"にもなりにくい。
多くのリスナーは、本作で見せたNOCTURNAL BLOODLUSTを望んでいたのも事実だと思われ、ファンが帰ってくるまでの道筋を作ってやっているのは、何気に大事だったりするのですよ。
硬派で、テクニカルで、エモーショナルな彼らが帰ってきた。
前作で裏切られたと思ったファンも、まずは聴いてみるべきであろう1枚。
<過去のNOCTURNAL BLOODLUSTに関するレビュー>