THE OMNIGOD / NOCTURNAL BLOODLUST | 安眠妨害水族館

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THE OMNIGOD [初回盤]/NOCTURNAL BLOODLUST

¥3,780
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1. Gottmord
2. Punch me if you can
3. DESPERATE
4. T.Y.R.A.N.T
5. DEAD END
6. [my:Se]raphy
7. GENESIS
8. Resurrection
9. Libra -another scene-
10. I-V-III
11. The Beautiful Craze -OMNI mix-
12. Strike in fact
13. Linaria

ラウド・デスコアシーンからV系シーンへの転身が上手くハマり、着実に動員を増やしつつあるNOCTURNAL BLOODLUST。
本作は、そんな彼らの2ndフルアルバムです。

スペシャル盤には、インストアルバムとMV集が付属、初回盤には「GENESIS」のMVが収録されたDVD付き、通常盤はCDのみという仕様。
ジャケットは、近時の作品との統一性を持たせたイラストとなっていますね。
なんとなく、他ジャンルから来た、というのがわかるアートワークだよなぁ。

こちらのシーンに移ってきたばかりの頃は、まだ文化に馴染んでいないぎこちなさがあり、本格的なのだけれど、本格的だからこそ浮いていた部分も否めなかった彼ら。
しかしながら、経験を重ねて感覚を掴んだのでしょう。
歯車が噛み合って、もともと持っていたポテンシャルが、ようやく最大限に発揮されてきたといったところ。
重厚であるも、ときに鋭く切り刻もうとするサウンドと、脳に直接訴えかけてくるような多種多彩なシャウト・アプローチが、とにかく大きなインパクトとして押し寄せるのです。

やはり、力が入っているのはリードトラックである「GENESIS」なのだろうな。
コンパクトにまとめたきらいがある本作の楽曲群において、がっつりと構成を組み立てたドラマティックなナンバー。
テクニックに走るだけでなく、展開力も持っているのだぞ、ということをアピールしています。
個人的には、声色を巧みに使い分けながら、ハードさの中にラフな雰囲気を落とし込んだ「T.Y.R.A.N.T」が好み。
常にアドレナリンが出っ放しで、この高揚感はたまりません。

90年代のコテコテバンドが、狂気や攻撃性の表現として多用していたシャウトが、ルーツが違うとはいえ、こうもテクニカルなスキルとして進化しているというのも、感慨深いものがある。
本当に同じバンドの同じボーカリストなのだろうか、と疑いたくなるバリエーションの広さと、でも確かにバンドとしてのまとまりがあるぞ、という一貫性。
ネックだったクリーントーンでのメロディラインにも違和感がなくなって、「Libra -another scene-」のような楽曲が出来るようになったので、またひとつ武器が増えました。

いや、これは参った。
ヴィジュアル系バンドのエクストリームミュージックなんて、もう出尽くして枯渇しているだろ・・・くらいに思っていたのですが、まさかここまで新鮮で衝撃的な作品が登場するとは。
食傷気味の人にこそ聴いてもらいたい一枚。
もっと早く聴いていればよかった。

<過去のNOCTURNAL BLOODLUSTに関するレビュー>
Ivy