UNLEASH/NOCTURNAL BLOODLUST
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UNLEASH
2,700円
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1. Prologue
2. Thank You
3. マッチョ オブ ザ ワールド
4. SHOWTIME
5. Satanic Corner
6. hPa
7. 少年時代
Gt.Cazquiさん、Gt.Daichiさんのツインギターが突然の脱退。
新ギタリスト、Linさんが加入して新体制となったNOCTURNAL BLOODLUSTのミニアルバムです。
「UNLEASH」のタイトルどおり、とにかく突き抜けた楽曲が多い印象。
まず、サウンド面に触れると、パーティーロック的なアプローチが増えて、従来のエクストリームメタル、ミクスチャー、ハードコアといった音楽性に、妙に明るい要素がドッキング。
ノリの良さを重視した、とっつきやすさが出てきた一方、その実、ジェント由来のヘヴィネスであったり、ポリリズムを使った世界観の構築など、マニアックさも上乗せされており、ライト層へもコア層へも、それぞれに間口を広げていこうという意図が見て取れます。
そして、なんと言っても、それ以上に顕著にはっちゃけているのが歌詞でしょう。
これまでは英詞が中心であったのですが、本作では日本語詞を多用。
しかも、ネットのスラングであったり、直接的なヘイトであったり、とにかくやりたい放題、言いたい放題。
テーマ選びにしても、筋トレだとか、ライブ参戦だとか、角に足の小指をぶつけたとか、良くも悪くもスケールが小さくなった感があり、従来のファンからしたら賛否両論出るのも無理がない内容だっただけに、インパクトは絶大でした。
特に話題を集めたのが、事前にMVが公開された「Thank You」。
タイトルとは裏腹なヘイトっぷりに、脱退したメンバーへのメッセージなのでは、と憶測が流れ、炎上的な盛り上がりを見せたわけですが、本作の"変化を見せつけて衝撃度を高める"というスタンスから察すると、それも狙いだったということでしょうね。
メンバー曰く、これまでも同じようにヘイトを綴った曲はたくさんあったのに、日本語になった途端、それがおかしいという空気になるのは違うのでは、とのこと。
炎上理由の本質とは、若干ズレている気がしないでもないが、上辺だけのファンを炙り出そうとする仕掛けは、正しくロックしてるな、と納得する部分もあって、結局気になっている時点で、彼らの術中ということなのかな、と。
本格的なエクストリームサウンドに、身近すぎて曲にするまでもないようなテーマを乗せてギャップを生み出すという手法は、Jin-Machineあたりと親和性があるだろうか。
古くは、メタルにおいてSEX MACHINEGUNSが根付かせたスタイル。
まさか彼らがそこを志すようになるというのは意外や意外で、文化論的には興味深い進化ですな。
と、これがどう評価されていくのか、復活が期待されていた矢先に新メンバーのLinさんの逮捕が発表され、ワンマンやイベントが白紙状態に。
汚名返上を果たせぬまま、更なる壁が生まれてしまうという絶望的な状況に陥ってしまいました。
作品に罪はないとはいえ、手を出しにくくかるのかな。
もしかしたら、幻の作品となっていくのかもしれない1枚。
<過去のNOCTURNAL BLOODLUSTに関するレビュー>