METABOLIC SYNDROME -メタボリックシンドローム-/Wizard
1. Metabolic Syndrome
2. 月詠み
3. Beautiful World
2013年に無期限の活動休止になっているWizard。
本作は、2012年にリリースされた実質的なラストシングルです。
2008年にメジャー進出するも、2010年に主要メンバーであったGt.HIRO、Ba.咲綺、Dr.悠~はるか~が脱退し、地下活動へ。
結果的に約1年だけの活動再開となりましたが、2012年、Gt.真、Ba.敦、Dr.kimiを迎えて復活。
本作を含めて、2枚のシングルを残しています。
2015年の1日復活や、Gt.ますみさんの死去が発表された後に行われた追悼ライブでは、メジャー期のメンバーが中心となっているため、ある種、貴重な編成での音源と言えるでしょう。
「Metabolic Syndrome」は、攻撃性を高めたハードチューン。
語りからシャウトの掛け合いに雪崩れ込む間奏の勢いは、彼らの楽曲の中でもトップクラスでは。
それでもサビは、しっかりとキャッチーに仕上げてくるあたりは、メンバーが変わってもWizardらしさとして君臨する部分。
Vo.kaitoさんの二面性を、存分に活かしていますね。
賛否両論ありそうなのは、その歌詞か。
タイトルからわかるとおり、"食う、寝る、太る"のサイクルに対しての悲痛な叫び。
当時流行った新語でもあり、ある意味で社会問題を切り取ったとも捉えることはできるのですが、良くも悪くも生々しさがあるので、ヴィジュアル系バンドがコミック要素なしでやることに抵抗があったリスナーもいたと思われます。
もっとも、おふざけや寸劇などは、過去のWizardも実施済。
シングルの表題曲として別の楽曲を据えていれば、彼らならこのぐらい出来る懐の広さがあることなど理解していたでしょうに。
カップリングの「月詠み」は、ほんのり和風のモチーフを足したダンサブルな楽曲。
跳ねるリズムで盛り上がるサビが印象的ですが、実は、そこに辿り着くまでの節回しや演奏アレンジに凝っているポイントが多いので、気を抜く場面がありません。
何でもやってみる、幕の内弁当のような彼らの音楽性ですが、強いてWizardの王道を挙げるとしたら、こういう楽曲になりそう。
ラストは、壮大な広がりを見せるバラード、「Beautiful World」。
6分以上の長さがあり、展開もドラマティックです。
間奏でのエモーショナルなギターは、わかっていても印象に残る。
メロの乗せ方にも独特さがあって、"よくある"感を薄めているのも好印象なのですよ。
全盛期ほどの勢いが保てない中でのリリースとなり、タイトルのインパクトで話題性を強める意図もあったのかな。
実際には大きくスタンスは変えていなかったわけだけれど、変化が前に出すぎてしまった側面があったのならば惜しまれます。
統一感のない三者三様っぷりは、WizardがWizardであることを示しているよう。
ますみさんのギターが、二度と生で聴けないことは、残念で仕方ありません。
<過去のWizardに関するレビュー>
Magic of the Seed
有終の美