-Valentine- / Wizard | 安眠妨害水族館

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Valentine/Wizard

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1. カクテル
2. Reverse
3. 砂の詩文

2006年2月に発表されたWizardのシングル。
限定2,000枚でのリリースでした。

連続リリースの第一弾。
第二弾は「-Whiteday-」と、季節感を捉えたコンセプト作となっています。
もっとも、実際のところ、この連作の内容に関連性があるのかは不明。
歌詞を読む限りでは、あまりリンクは感じないのだけれど、裏設定でもあるのかしら。

リードトラックとなる「カクテル」は、バレンタインソングらしい甘いポップナンバー。
この手の軽いタッチの歌詞すらバンドとして浮かないのが、Wizardの強みだったのでしょう。
チョコレートは比喩表現として使われるのみで、メインは据えられているのがカクテル。
軽くは見えても、音楽性としては、しっかりと大人のポップスを表現しているのが面白いところですね。

カップリングの「Reverse」は、一転してダークでハードな楽曲。
変拍子からスタートし、シャウトの応酬もあり。
イメージとしてはガラっと変わるのだけれど、「カクテル」にしても一筋縄ではいかない構成としていたこと、サビではメロディアスに変貌することなど、仕込みが絶妙。
なんだかんだ、違和感なく聴けてしまった。

「砂の詩文」は、アカペラ風の出だしからはじまる歌モノ。
クリーントーンのギターが切なく奏でられ、物悲しさを駆り立てます。
kaitoさんの芯のある歌声もハマっていて、力強く歌い上げるからこそ、強がっているかのような演出にもなっており、時代に左右されない佳曲に仕上がっているのでは。

相変わらずの三者三様っぷり。
統一性のないバラバラな楽曲たちなのだが、そこは、それを売りにしていた彼ら。
こなれてきたのか、初期の作品に比べて、無理のない流れになっていました。
バレンタインシングルというわりに、総合的にバレンタイン感が弱いのはご愛敬。
そもそも、ジャケットのお菓子、バレンタインのチョコレートではなく、ホワイトデーのお返しっぽいのですよ。
これ、突っ込みどころなのでしょうか。

<過去のWizardに関するレビュー>
Magic of the Seed
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ジェミニ