SIN DIVISION / BAROQUE | 安眠妨害水族館

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SIN DIVISION/BAROQUE

SIN DIVISION SIN DIVISION
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1. RITUAL

2. END VISION

3. SIN QUALIA

4. REDME

5. FALLEN VENUS

6. SUCCUBUS

7. SABBAT

8. GLOOMY LILITH

9. FROZEN ABYSS

10. COCYTUS

11. I LUCIFER

12. INFERNO

 

 

Vo.怜、Gt.圭の2人体制となってからは3枚目となるBAROQUEのフルアルバム。

前作「PUER ET PUELLA」から、わずか半年という短いインターバルでのリリースとなりました。

 

じっくりとアルバムを作り込んでいるイメージがあった彼らだけに、驚かされた連続リリース。

善と悪、愛と憎しみ、天使と悪魔…

相反する概念を内包している人間にとって、普段は隠しているような闇の部分がテーマとなっているようです。

前作が白さ、純真さといったところに焦点を当てていただけに、意図的に対比となる要素を強めたと言える作品。

イメージが固定化される前に、間髪入れずに本作をリリース出来たのは、今後の彼らにとっては大きいのでは。

 

ただし、サウンドワークとしては、そこまで両極端に振り切っているというわけではありません。

むしろ、音像は「PLANETARY SECRET」の頃から地続き。

前作から顕著になってきたL'Arc~en~Cielを踏襲したようなクリアなギタープレイや、バンドサウンドにエレクトロ的なアプローチを織り交ぜ、宇宙的な広がりをもたらす手法は、本作でも特徴的に用いられていました。

コンセプトであるダークな世界観は示しつつ、天国と地獄は隣り合わせなのだという暗示としてサウンドに共通項を多く残しているところで、実に凝っているなと感心してしまう。

 

もちろん、新境地も開拓。

ダンスビートを繰り返すことで、インダストリアルな質感を創出したり、民族音楽をモチーフにして異国情緒を高めていったり、必ずしもバンドサウンドに頼る必要がない音楽性も模索していきます。

中盤以降の、宇宙空間に放り出されたような心地良さは、その成果のひとつ。

圭さんがソロで培った経験と、BAROQUEの懐の深さが化学反応を起こして生じたものだったりするのでしょう。

 

最後に、怜さんの表現力。

たった半年足らずで凄みを増していて、優しさも激しさも、シンプルに歌い上げるだけで喜怒哀楽が浮かんでくるレベルに到達。

その結果、難解なアレンジの中にあっても、ポップでキャッチーな歌メロを残すことができました。

アルバムを通して聴くと、そのスケールの大きさに飲み込まれそうになるのですが、スポット的に耳にする分には、聴きやすさが先立つのですよね。

入口は広く、出口は狭く。

それこそが、本作における肝だったりして。

 

個人的な好みとしては「PUER ET PUELLA」のほうに軍配が上がるのだけれど、本作があってこそ世界観が完結するということに異論はなし。

すべては表裏一体。

どちらかだけで存在することはできないのです。

 

<過去のBAROQUE(baroque・バロック)に関するレビュー>

PUER ET PUELLA

「AN ETERNITY」「FLOWER OF ROMANCE」

PLANETARY SECRET
ノンフィクション
たとえば君と僕
キズナ
メロウホロウ
ザザ降り雨
凛然アイデンティティ/teeny-tiny star/モノドラマ
Sug life
スケベボウイ
秋葉原電機店黒人歩亜東京ストリッパー
 

否定デリカシー