創生録Ⅱ~Fearless Scenario~ / David | 安眠妨害水族館

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創生録Ⅱ~Fearless Scenario~/David

 

1. Overture-Dead Decadence-

2. Stigmata

3. Apolutrosis

4. 羽化と理想

5. Ruinous

6. Fearless Scenario

7. Dresscode

 

ヴォーカリスト、SUIさんによるソロプロジェクトとなるDavid。

本作は、前作から1年ぶりにリリースされた2ndミニアルバムです。

 

SE「Overture-Dead Decadence-」、シングル「Stigmata」を含む全6曲。

通常盤では、更に「Dresscode」が追加収録されています。

音楽性として、全体的には「創生録 I ~Birth and Confession~」の路線を踏襲。

コピー上では"デカダンとゴシックメタルの究極の融合体"とのことですが、むしろ、王道的な耽美メタルといったところで、美しく華やかなメロディラインと、ハードでテクニカルな演奏が特徴的と言えるでしょう。

 

サビでのキャッチーさが光る「Stigmata」で実質的なスタートを切ると、粒が大きい楽曲を次々と畳み込む。

ツタツタと速度を上げていくドラムの激しさに耳を奪われるダークチューン「Apolutrosis」、鍵盤やシンセのサウンドにより白系的な要素も持たせた「羽化と理想」、邪悪さと神秘性は表裏一体とでも言いたげに黒と白が交じり合う「Ruinous」と、流れてくるすべてに全力投球している印象で、いずれもシングルで切れそうなパワーを持っているのですよ。

 

そして、サブタイトルでもある「Fearless Scenario」。

ここまでの全力路線は変えることなく、デジタル、アナログ、全部ぶち込んでドラマティックに仕上げてしまったという展開の多いナンバー。

シャウトのパートであったり、カオティックな演奏を前に出す場面もしっかりあるのですが、やはりメインの歌メロにはポップさすら感じるキャッチーさがあって、印象に残りやすいですね。

力を抜くのではなく、更にギアを上げることでメリハリをつけていくというアプローチ。

ミニアルバムという媒体だからこそ、全力で押し切ることができるということで、駆け引きに成功しています。

 

ボーナストラックである「Dresscode」は、一転してバンドレスでの楽曲。

耽美+デジタルサウンドということで、なんとなくKayaさんチックな雰囲気もありますでしょうか。

ベタに突っ走るだけでなく、チャレンジ精神も忘れてはいない。

こういった試みもソロプロジェクトならではで、新章へ突入した感をサウンド面からも高めていました。

 

楽曲ごとの聴きやすさが増しているので、入門書としても機能しそうな作品。

作品内での緩急はやや弱く、アルバムとしての完成度としては前作のほうが凝っていたかな、と思わないでもないですが、純粋に聴きたい曲が入っているというシンプルな理由で聴き続けてしまう。

良質の耽美メタルをお求めであれば、聴いて損はないのでは。

 

<過去のDavidに関するレビュー>

Requiemage -Another Edition-

創生録 I ~Birth and Confession~