True Mind~傷つきながら~ / JZEIL | 安眠妨害水族館

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True Mind~傷つきながら~/JZEIL

 

1. True Mind~傷つきながら~

 

BREAKERZのボーカリストとして活躍中のDAIGOさんが在籍していたJZEIL。

本作は、活動初期に配布された1曲入りのデモテープです。

 

音楽性としてはグラム路線で、徐々に洋楽ライクのハードロック志向になっていった彼らですが、この楽曲については、正統派のソフトヴィジュアル系。

透明感のあるアルペジオからスタートすると、清涼感のあるバンドサウンドとポップなメロディでメジャー感を高めていきます。

その意味では、むしろ初期のほうが今のDAIGOさんのスタイルに近いボーカルが聴けるとも言えるのかもしれません。

 

テンポはミディアム寄りですが、軽快なリズムにより高揚感あり。

イントロで高めて、Aメロで落として、Bメロから再び盛り上がり始め、サビでは究極にキャッチーに。

そんなベタながらもドラマ性のある構成は、ある種の初期衝動を体現しているのでは。

二段階に分かれているようなギターソロなど、凝るべきところも凝っていて、聴きどころもしっかり作っていました。

 

一方で、少し無駄も多いのかな。

アイディアを全部詰め込んだのと引き換えに6分を超える尺となっており、やや長すぎる印象を与えてしまうでしょうか。

もっとも、装飾過多も若さの証拠。

今となっては純粋な曲の良し悪しだけでなく、史料的な付加価値も加わっていますので、その若さこそがたまらないのですが。

 

ボーカルは、この頃から相応に安定していますね。

感情の込め方に、まだぎこちなさが見られますが、当時のレコーディング環境等を差し引けば、十分に合格レベル。

案外、癖が少ない当時の歌い方のほうが、大衆受けが良かったりして。

 

20年以上前の作品ということで、さすがに陳腐化してしまっている部分は否めませんが、リメイクすれば現役でも使えそうな普遍的なメロディは強み。

特にBメロでは、今と変わらぬDAIGO節と思えるのではないかと。

DAIGOさんの音楽がV系シーンと結びついていたことを示すエビデンス的な作品です。