創生録 I ~Birth and Confession~ / David | 安眠妨害水族館

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創生録 I ~Birth and Confession~/David

 

1. Confession-Awakening of Genesis-

2. Metempsychosis

3. Fate Conscious

4. 蠱惑

5. Ancient Resonance

6. Genesis -In Bible-

 

ex-Megaromania、ex-凛のVo.SUIさんによるソロプロジェクト、David。

本作は、始動から1周年というタイミングで制作された1stミニアルバムです。

 

ソロデビューの発表から話題を集め、1stシングルを即日完売。

このままぐいぐいと攻め続けるのかと思いきや、なかなか次のリリース・ニュースがなかっただけに、満を持してといったところでしょう。

インストナンバーである「Ancient Resonance」と、VersaillesのKAMIJOさんがプロデュースした「Genesis -In Bible-」は、初回限定盤のみ収録となる楽曲。

配信限定だった「Genesis -In Bible-」のCD化は、嬉しい限りですな。

 

「Confession-Awakening of Genesis-」は、荘厳なSEからスタートする耽美メタル。

ナルシスティックな語りが導入となっているので、もしやコテコテバンドへの回帰か、と匂わせつつ、サビでは現代的で解放感のあるメロディを聴かせる新旧V系シーンの美味しいところどり。

期待されているスタイルをよく心得ており、装飾過多なサウンドがたまりません。

続いて送り込まれる「Metempsychosis」も、疾走感に溢れるメロディアスチューンで、良い意味でのベタ。

安定した楽器隊にも支えられ、とても気持ち良く展開されていきます。

 

ミディアムテンポの歌モノでアクセントとなるのは、「Fate Conscious」。

鍵盤がメインの序盤から、バンドサウンドで広がっていくドラマティックな構成には、きっとファンでなくても夢見心地に。

ただし、英語の発音は課題だろうな。

日本語英語になってしまっていて、ややぎこちなさが先だってしまったか。

「蠱惑」は、ヘヴィーでダーク。

「Fate Conscious」で表現しきれなかった演出は、こちらに持ってきたということなのかしら。

どちらも、タイプが異なる名曲だったな、と改めて感慨深くなるものですよ。

 

SEを挟んで、「Genesis -In Bible-」では、KAMIJOさんの遺伝子が目を覚ました。

これ、本当にSUIさんが作曲して、SUIさんが歌っているのだよな…と思ってしまうほど、世界観に馴染んでいました。

メロディはキャッチーだし、演奏隊もテクニカルだし、徹底的に演出されたアートワークだって忘れてはいけない。

どこをとってもキラーチューンで、スタートとしてもぴったりでしたが、ラストに置いてもしっくりきます。

 

イメージどおりのサウンドを、高いクオリティで再現。

王道好きにもたまらない「Metempsychosis」や、「蠱惑」のようなカオティックなコテコテ感も見せてくれたりして、なかなかの出来栄えではないかと。

なお、通常盤は収録曲が一部差し換えられており、初回限定盤との2枚同時購入で、未発表曲が収録されたCDが後日送付されるのだとか。

この楽曲の小出し感が、吉と出るか凶と出るか。

やはり、ボリュームからすれば、少し割高感がありますかね。

まずは名刺代わりの作品を、という時期だけに、もっと網羅的に求めやすい作品にしたって良かったと思うのだけれど。