変なメリーゴーランド / gulu gulu | 安眠妨害水族館

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変なメリーゴーランド-不味い盤- / gulu gulu

 

1. 変なメリーゴーランド

2. 嗅覚障害

3. 不味い麻酔

 

"烏名鳴と不愉快な仲間達"が、gulu guluとして正式始動。

本作は、それぞれカップリングが異なる"美味い盤"、"不味い盤"の2種類同時でリリースされた1stシングルです。

 

Vo.哀(ex-黒百合と影:烏名鳴)、Gt.凛人(ex-MIZTAVLA:光)、Gt.kazari(ex-llll-Ligro-)、Ba.藍珠(ex-グリーヴァ:緋雨)、Dr.螢ちゃん(ex-バラライカ:カタセケイ)という、期待が高まるメンバー構成。

「Cure World Visual Festival 2019」での初お披露目というインパクトのある登場から、処女作のリリース、8月の単独公演の発表と、早くもシーンを掻き回しつつありますね。

 

「変なメリーゴーランド」は、不謹慎でグロテスクな世界観を纏う楽曲。

ダークメルヘン、レトロ歌謡、ラウドロックと、様々な要素をカオティックに混ぜ込んで、マニアックで中毒性の高いナンバーに仕上げています。

切り取ったパートによって印象が変わるであろうドラマ性がある一方で、タイトルを連呼するサビは非常に耳に残るため、スポット的に聴いても大きな衝撃を与えることができそう。

-人生にトラウマを持った人間達が受ける治療はヒト型メリーゴーランドとなり、まるで走馬灯のように"ぐるぐる"回り続けることだった-

そんな特異な設定も含め、アングラ感を強く残しつつ、サウンド的にはその外のカルチャーへもアピールできるハードさを持ち合わせており、間違いなく代表曲となっていくことでしょう。

 

「嗅覚障害」は、2タイプ共通でのカップリング曲。

ラウドなサウンドに重ねることで、メルヘンなフレーズを不気味に活用するアプローチは、1曲目からの流れを踏襲しています。

ポイントは、はっきりとしたサビは設けずに、ガツガツ攻めたり、気持ち悪く浮遊したりを繰り返すセオリー無視の構成。

それにより、どのパートもサビであるかのように振る舞っているようにも聴こえるという逆説的な面白さを付加しているのですよ。

ここまで突き放した楽曲を演奏してくれるというのも、コアなファンにとっては嬉しかったりするのでは。

 

「不味い麻酔」は、"不味い盤"のみに収録された楽曲です。

アングラ+ラウドサウンドは相変わらずなのだけれど、こちらはメロディアスなサビを用意することで高揚感も高めていました。

「嗅覚障害」がある種、振り切ったマニアックチューンだっただけに、これでバランスを取っているという見方もできるのかな。

雑に例えると、初期のDEZERTをモダンなサウンドで昇華したようなイメージか。

なお、"美味い盤"では、「Rubra」に差し替えられているので、余裕があれば聴き比べておきたいところですな。

 

歌詞カードは、渦巻きのように"ぐるぐる"と文字が並べられた仕様。

読みやすさは一切考慮せず、歌詞の記載方法から世界観を構築するのは、実に哀さんらしい手法かと。

期待に違わぬゾクゾク感。

またひとつ、目を離せないバンドが誕生しました。