Human Dignity/摩天楼オペラ
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Human Dignity【初回限定プレス盤】
3,279円
Amazon |
1. Human Dignity
2. Dead by Daybreak
3. Invisible Chaos
4. MONSTER
5. RAINBOW
6. Sacrifice
7. 箱の底のMUSIC
8. actor
9. Cee
10. 見知らぬ背中
11. SNOW
12. The WORLD
古巣であるキングレコードからのメジャー再デビューとなった摩天楼オペラ。
Gt.JaY、Dr.響が加入し、フルメンバーが揃った彼らの満を持してのフルアルバムです。
音楽性としては、王道のメロスピ路線も残しつつ、ラウドロックの要素を強めた印象。
代名詞でもあるシンフォニックなサウンドや壮大な展開は、本作では幾分か控えめとなっており、ハードなショートチューンを畳み掛ける構成が特徴でしょうか。
表題曲である「Human Dignity」から勢いよく飛び出したかと思えば、「Dead by Daybreak」、「Invisible Chaos」と、間髪入れずに次々と。
中盤～終盤にかけて、アクセント的なナンバーも含まれていきますが、いずれも尺はコンパクトにまとめており、長尺曲はインストだったりアコースティック編成だったり、飛び道具的な楽曲に多いのですよね。
その意味では、12曲のボリュームを感じさせない流れの良さがありました。
また、メロディのキャッチーさは、過去の作品と比較しても上位に位置するレベル。
メジャーだからとポップ化したわけではなく、これまでも奏で続けてきた美メロを、モダンなサウンドに重ねたことで、一気に聴きやすさが増しているのですよ。
例えば「actor」におけるジャズとメタルの融合は、歌メロの質の高さが楽曲の完成度を高めているのは間違いありません。
サウンド面においては、Vo.苑さん、Ba.燿さん、Key.彩雨さんがイニシアティブをとって引っ張っていくスタイルは継続。
ただし、本作で特筆すべきは、意識して聞かなくてもぐいぐいと主張してくるギターのフレーズですね。
長い間サポートとして参加していたこともあり、JaYさんとのコンビネーションにはもとより不安視はしていなかったのですが、正式メンバーとなったことで自由度を増したのか、とにかくギターが目立つ目立つ。
もちろん、それは悪目立ちではなく、大きなインパクトを残しているということ。
引き出しの広さも感じられて、加入して更に化けたな、と。
ギターの仕事っぷりで言えば、インストである「Cee」と、アコースティック調の「見知らぬ背中」は、JaYさんなくては成立しなかったはず。
自ら作曲を手掛け、ときに緻密に、ときにエモーショナルにギターを弾き倒す姿に、もうあの頃の遠慮はありません。
響さんについても、サポートとして叩いていた「Invisible Chaos」のドラムパートのみ再録するというこだわりよう。
こちらも、しっかり摩天楼オペラに馴染んでいるため、ポテンシャルの高いメンバーを連れてきたのだな、と期待感が高まります。
「PANTHEON」シリーズが原点回帰的なメタル路線だっただけに、再出発は王道メロスピか、と思わせつつの新機軸。
サックスを主旋律に取り入れた「SNOW」が象徴するように、新しい摩天楼オペラの息吹を感じますな。
12年目にして、この初期衝動。
最後の最後で、ベタなメタルチューン「The WORLD」を持ってくるあざとさも含めて、熱量の高さをそのままパッケージしたような１枚です。
＜過去の摩天楼オペラに関するレビュー＞