PANTHEON -PART 2- / 摩天楼オペラ | 安眠妨害水族館

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PANTHEON -PART 2-/摩天楼オペラ

 

1. The RISING -Orchestra-

2. Beyond The Sorrow

3. 罪と罰

4. WARRIOR

5. The Gambler

6. 覇道の火よ

7. 黄金郷を夢見て

8. Voyage

9. 戦場の雨は音もなく

10. PANTHEON -PART 2-

 

前作から半年というインターバルで送り込まれた摩天楼オペラのフルアルバム。

こんなにも早く、"PART 2"が届けられるとは驚きです。

 

「PANTHEON -PART 1-」から地続きの世界観ということで、サウンド的にも、ヘヴィメタルに原点回帰した前作から踏襲したといったところ。

彼らが得意とするメロスピ路線で突っ走る構成になっており、贅肉を落として更に洗練された印象です。

一方で、旋律の美しさは削ぎ落とされてはおらず、キャッチー性も維持。

初期衝動的なフレッシュさを感じつつ、その実、結成10周年の円熟味で裏付けされており、クオリティは相当に高いと言えるでしょう。

 

続きモノの体裁をとったのも奏功していて、「PANTHEON」のストーリーがドラマティックに聴こえる演出となっています。

1曲1曲はストレートな展開だったりもするのだけれど、アルバム全体で起承転結を構成していると捉えれば、それも組曲の中のひとつのピースとなるわけで。

勢いを持って疾走する序盤、インスト「黄金郷を夢見て」を含む世界観重視の中盤、壮大な広がりを見せる終盤。

鮮やかに、かつスリリングに遷移していくストーリーは、まるで映画を見ているかのようですね。

 

楽曲単位で注目したいのは、「覇道の火よ」。

コーラスにKAMIJOさんが参加しており、苑さんのハイトーンボイスと、KAMIJOさんの耽美なミドルボイスの掛け合いは一聴の価値あり。

他の楽曲に比べて、心なしか様式美テイストが強めに出たヴァイキングメタルに仕上がっており、勇ましさと繊細さが混在する摩天楼オペラならではのナンバーとなりました。

 

また、リードトラックであり、このストーリーを締めくくる表題曲「PANTHEON -PART 2-」が素晴らしい。

古き良きV系シンフォニックメタルを彷彿とさせるクラシカルな部分と、キーボードを前に出した現代的な音作り、メロディ運びが見事に融合して、クライマックスにふさわしい1曲に。

サポートギタリストは、前作から引き続きJaY さんが担当していますが、いよいよ個性が噛み合ってきたのかな。

ギターに任せるという選択肢が増えたことで、アレンジの窮屈さが解消された感もあります。

 

コンパクトにまとまっていて、強みも十分に発揮できている。

この内容であれば、前作を聴いていなくても満足できるのではないでしょうか。

摩天楼オペラをはじめて聴くリスナーへの入門書にしても良いぐらいの出来栄えだと思うのですが、そう考えると、"PART 2"と銘打っているのはもったいないな。

上下巻の下巻から読む人は少数だろうから。

もっとも、CDにおいては最新作から聴こうとする層も一定数いるはずなので、迷っているのであれば、本作が最新作のうちに。

 

<過去の摩天楼オペラに関するレビュー>

PANTHEON -PART 1-

PHOENIX RISING

地球
AVALON
喝采と激情のグロリア
Justice
Abyss
GILIA