Devil's Proof / Deviloof

Devil's Proof/Deviloof

Devil’s Proof 3,132円 Amazon

1. Devil’s Proof

2. ESCAPE

3. Natural Born Killer

4. Return of the Curse

5. DESTINATION

6. LOVER

7. InCipit -Instrumental-

8. EGOIST

9. M.F.JAP

10. 怠惰の罪

11. HERO=MURDERER

メンバーチェンジを経て、再始動となったDeviloof。

本作は、レコーディングやミックスにex-girugameshのЯyo Trackmakerさんを迎えて制作された1stフルアルバムです。

デスコア、ブルデスに振り切れるアプローチで差異化を図ってきた彼らですが、遂にフルアルバムのリリースということで、幾分かはバラエティ性も意識してきた印象。

クリーントーンでのボーカルパートも増えてきました。

ただし、より源流に近いエクストリーム・メタルサウンドは、シーンの中でフォーマット化され、独自の進化を遂げてきたV系ラウドの中では異質さを放ったまま。

売れ線に逃げたとか、王道的なV系バンドに寄せてきたとか、そういった言葉は当てはまりそうにもありません。

バラエティを広げるというと、ポップなナンバーが収録されていたり、バラードに挑戦したり、と脇道に逸れるような意味合いも含まれてしまうのですが、彼らの場合、あくまでハードコアという軸はブレていない。

面白いのは、「M.F.JAP」でラップ的なフレーズを取り込んだり、「怠惰の罪」では呪術的なボーカルパートで世界観を構築していたり、サウンドそのものを変えるのではなく、魅せ方を変えて違いを生み出しているということ。

音楽性としてメロディを重要視していない彼らが、こうも色々な顔を見せてくれるとは思いもよらなかったので、嬉しい誤算でしたよ。

もっとも、リードトラックとなる「ESCAPE」は、キャッチーなサビに驚かされる。

Deviloofもシーンのお作法に従属してしまうのかと疑いそうになったのですが、良い意味で、これがブラフだったなと。

とっつきやすさ、聴きやすさという点で門戸を広げつつ、実際に通して耳にしてみたらズタズタに引っ掻き回す凶悪なリフの応酬。

それまでは異文化だった音楽に、どんどんのめり込む感覚を味わうことができるのです。

戦略的に"聴く人を選ぶバンド"として歩んできた彼らが、ひとつ前に進むために外を意識した作品。

異質であることをアピールする逆転の発想で、本格派エクストリーム・メタルバンドという評価を崩さずに、リスナーを拡大することに成功しているから興味深いですね。

セオリー無視が、むしろ痛快。

若手らしい尖った姿勢と、若手らしからぬ卓越した演奏技術もセールスポイントでしょう。

男ファンが多いのも頷ける１枚。

ちなみに、新しくなったバンドロゴは、BABYMETALやSiMなどのデザインを手掛ける江川敏弘さんによるもの。

ここに拘るあたりも、メタルバンドとして押さえるべきところを押さえているといったところ。

徹底されています。