dadaism#4 / DADAROMA | 安眠妨害水族館

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dadaism#4/DADAROMA

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1. 蛍

2. 部屋とブラジャーと私

3. 「トゥルリラ」

4. カリスマロックスターは売れないぜ!

5. キスをしよう

6. A PLAIN

7. 狼少年と毒林檎~piano ver.~

 

DADAROMAの5thミニアルバム。

新体制となってから第一弾の作品となります。

 

Dr.裕介さんの脱退により、活動休止となっていた彼ら。

まさか、およそ3ヶ月で復活しただけでなく、アルバムまで制作してしまうとは。

結果として、前作「This is "LIVE"」から半年程度でのリリースとなり、実質的にはほとんど止まっていなかったと言えますね。

後任のドラマーが、ex-THE BLACK SWANの煉こと諒平さんというのも、話題性があって抜け目ありません。

 

さて、届けられた「dadaism」の新シリーズ。

リスタートの意味で送り込まれたことを踏まえれば、1stに近い位置づけと考えるべきでしょうか。

実際、バランスよりも衝動性を重視している印象で、既存の枠組みを破壊し、自己の解放を図る本来のダダイズムを感じる内容になっているのではないかと。

 

まず、良い意味でタイトルから楽曲の内容が想像できないのですよ。

美しくも激しい「蛍」は、ある程度理解できるとしても、「部屋とブラジャーと私」、「カリスマロックスターは売れないぜ!」、「キスをしよう」などが、どういった曲調に仕上がっているのかは、直に耳にするまで予測不可能。

ラウド系ヴィジュアルバンドのセオリーを覆すところから、彼らの挑戦はスタートしていると捉えるのならば、いちいち予想を裏切られるという面白さもさることながら、これでも格好良いと思わせることができるという自信の表れとも受け取れるのです。

 

そのうえで、サウンドだけを切り取っても圧倒できる説得力も持ち合わせている。

特に、「蛍」から「トゥルリラ」までの勢いで突っ走る流れの爽快感たるや。

楽曲としてはダウナーな側面もあるのだけれど、ハードなサウンドを気持ち良くぶち込むセンスは抜群です。

激しさはそのままに、コミカルなアプローチでシニカルなテーマを歌う「カリスマロックスターは売れないぜ!」をアクセントに置くと、歌モノ枠の「キスをしよう」、王道的な展開を見せる「A PLAIN」と続け、やり放題やる中でも、まとまっているように見せる演出力もさすがの一言。

Type Bには、更に「狼少年と毒林檎」のピアノバージョンが追加されており、引き出しの多さを見せてのクロージングとなっていました。

 

総括として、無茶苦茶だけど格好良い。

強引さすら武器にしてしまっており、アクの強さが勢いとして作用しています。

 

それにしても、「This is "LIVE"」を発表したことで、ダダイズムからの脱却を果たしたと思いきや、このタイミングでシリーズ再開となったのには驚かされたな。

もっとも、あえてこのタイトルがつけられたことによって、ゼロに戻すのではなく、これまでの活動も含めての積み重ねであるのだ、というメッセージを感じ取ることができる。

DADAROMAの音楽が、再びシーンに旋風を巻き起こしてくれることを期待せずにはいられません。

 

<過去のDADAROMAに関するレビュー>

「This is "LIVE"」

dadaism#3

「造花とカラシニコフ」

「夢タラレバ」
「螺子」
dadaism#2
Happy Halloween
「最終電車」
「雨のワルツ」
dadaism#1