dadaism#3 / DADAROMA | 安眠妨害水族館

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dadaism#3/DADAROMA

 

1. 「MASTURBATION.」

2. 愛してると言ってよ

3. NPD

4. ロマンスグレー

5. 狼少年と毒林檎

6. 私、バンギャじゃないわ

 

DADAROMAの2種同時にリリースされた3rdミニアルバム。

通常盤となるType Bには、「私、バンギャじゃないわ」が追加収録されています。

 

無意識ではあるが、1stミニアルバム「dadaism#1」の進化系となったとのこと。

芯が変わらない中で、攻撃的な楽曲やダウナーな楽曲のバランスが合致し、DADAROMAらしさがより色濃く出てきたというのが根拠らしい。

dadaismシリーズは、その時点での集大成的な意味合いが強いわけで、確かに"DADAROMAといったらこれだよね"という内容に仕上がっているでしょうか。

 

また、オフィシャルサイトの解説によれば、「MASTURBATION.」が象徴するように、"自慰行為"を意識しているようです。

これについては、半分は納得、半分は誤解を招く表現かな、と。

というのも、彼らのルーツであったり、演奏していて気持ち良い音楽性とはこういうものなのだろうという意味で、やりたい放題やっているのは事実。

一方で、その結果としてのサウンドは、とても聴きやすい。

洗練されて、王道的なフォーマットに集約。

自慰行為=マニアック、というイメージで聴くと、垢抜けた雰囲気に驚いてしまうかも。

 

明るいのか、暗いのか、不思議な世界観を持つ「MASTURBATION.」、レトロでダウナーな歌モノである「愛してると言ってよ」、ライブ感が意識され、パンキッシュに突き抜ける「NPD」。

「ロマンスグレー」でメロディアスに疾走する王道っぷりを見せつけ、本編最後の「狼少年と毒林檎」では、彼らの真骨頂、ハードでドラマティックな世界観のあるラウドロックを叩き込む。

これまでの音楽性の延長線上という意味で、ややインパクトが弱まる側面はあるも、成長を見せつける内容になったのは間違いありません。

 

そして、インパクトを残す役割は、ボーナストラック的な「私、バンギャじゃないわ」でカバーリング。

タイトルの段階で衝撃的なのだが、棒読み的な歌い方やラフな掛け合いなど、ありそうでなかったゼロ年代コテオサ風のノリ。

ある種のあるあるネタに切り込んだ歌詞も含めて、新境地を切り開きました。

これがなかったら、完成度は高いが印象に残りにくい、となっていたかもしれない作品。

なんだかんだ、魅せ方が上手いバンドです。

 

シングルで実験、ミニアルバムで集大成。

効率的なリリースを繰り返しているDADAROMAですが、ひとつの完成形を見せたことで、次のフェーズへ向かうための土壌が出来上がったと言えるはず。

そろそろ、そのサイクルを崩しても面白そうですね。

 

<過去のDADAROMAに関するレビュー>

「造花とカラシニコフ」

「夢タラレバ」
「螺子」
dadaism#2
Happy Halloween
「最終電車」
「雨のワルツ」
dadaism#1