JUKE BOX/ベル
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JUKE BOX (ボックス盤)
2,967円
Amazon |
1. 蜘蛛の糸
2. LOST SEASONS
3. ジェラシー
4. カラータイマー
5. 沙羅々-しゃらら-
6. 失恋灯台
7. ルフラン
8. 最後の少女
9. 僕たちは真っすぐに歪んでゆく
10. 哀愁エレジー(JUKE BOX ver.)
11. 東京蜃気楼
12. 真夏のバラッド
13. 涙傘(JUKE BOX ver.)
ベルの2ndフルアルバム。
4thシングル「真夏のバラッド」から、8thシングル「僕たちは真っすぐに歪んでゆく」までの全シングル曲を含む12曲に、"ジューク盤"には「ベル三周年記念ワンマンツアー 鐘の音三年、ぶらり旅。ツアードキュメントDVD」が付属、"ボックス盤"には「涙傘」の再録バージョンが追加収録されています。
音楽性としては、1stアルバムである「歌謡サスペンス劇場」の段階で固まっていた彼ら。
本作では、レトロなスタイルは引き続き継続したうえで、"JUKE BOX"なのだから様々なジャンルが入っていても良いよね、という遊び心も追及し、バラエティ面での底上げを図っていました。
その最たる例が、1曲目の「蜘蛛の糸」と、2曲目の「LOST SEASONS」。
ダウナーなミディアムナンバーからスタートし、シリアスな展開を予感させるのですが、続く「LOST SEASONS」が切なくノスタルジックなポップロックで、軽快に駆け抜けていく。
文章で書くと、こんなに振り切って大丈夫か、と思わせるかもしれませんが、レトロ色の中で歌を活かすというバンドのテーマがしっかりと決まっているので、耳にしてみると、そんなに違和感がないから面白い。
むしろ、タイトル通り夜遊び中にジュークボックスから色々な楽曲が雑多に流れてくる感覚に似ていて、世界観として完成されているな、と。
これは上手いアルバムコンセプトを見つけてきたものですよ。
そういう意味では、普通のバンドであれば既存曲が多いと評されそうな、5枚のシングル曲が効いている。
雑多とはいえ、ジュークボックスから流れるのはヒット曲が中心。
"この曲、知ってる!"という喜びに近い気持ちを、シングルで聴いていた楽曲たちが再現してくれていると捉えることもできるのでは。
もっとも、「哀愁エレジー」はアレンジが変更されていて、随分とヘヴィーな楽曲に。
新たな一面を見つけることができるのも、アルバムの楽しみといったところでしょうか。
もちろん、アルバム曲だって負けてはいません。
ウルトラマンよろしく、3分間の尺の中にすべてをぶつける勢いを持った「カラータイマー」、祭囃子のようなリズムに和メロを乗せた「沙羅々-しゃらら-」、ラストスパートに向けて加速する「東京蜃気楼」など粒揃い。
懐メロ風のシティポップ「失恋灯台」や「最後の少女」はこれまで強みとしてきた路線の延長線上ですが、サウンドメイクに遊びを入れて、違いを生み出していますね。
「続・鐘が鳴ったら事件が起きる」に収録されて以降、定番曲として定着した「涙傘」も、変わらないまま、進化していることを証明。
流れを作るための濃淡はあれど、捨て曲はひとつもなしで、バンドとしての成熟を見せつけていました。
60年代を意識したヴィジュアルイメージに、ノスタルジックなサウンド。
時代錯誤な音楽と言えるのかもしれませんが、裏を返せば、時代に左右されないということ。
あえて流行ではない歌モノ歌謡ロックを貫くベルのこだわりは、いつ聴いても古臭くない普遍性となった。
どんな季節に聴いても、どんな心境で聴いても、しっくりと耳に馴染みそうな味わい深い1枚です。
<過去のベルに関するレビュー>