午前3時の環状線 / ベル | 安眠妨害水族館

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午前3時の環状線 (A type)/ベル

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1. 午前3時の環状線
2. 飴と無知
3. 熱帯夜

午前3時の環状線 (B type)/ベル

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1. 午前3時の環状線
2. 飴と無知
3. バイバイ

ベルの2ndシングル。
収録曲が1曲が差し替えられての2種類同時リリースで、順調に楽曲が増えてきていますね。

初期のシドを連想させる昭和歌謡のエッセンス散りばめた音楽性。
必ずしもバンド感だけにこだわらず、切ないレトロサウンドを奏でるスタイルは、最近では希少種になっているので、ハマる人にはハマるバンドになっているのではなかろうか。

「午前3時の環状線」は、ホーン系の打ち込みが艶やかさを添えたアッパーチューン。
ハネたリズムによるノリの良さがある一方、メロディはどこか寂しげ。
バンドである以上は残すべきところと、割り切ってチャレンジするところの基準線を、少し80年代ポップス的なアプローチへ踏み込んだところに設定しているイメージでしょうか。
昭和歌謡系、哀愁系という名称でジャンルが細分化され出してから10年以上が経過しましたが、足踏みしていたわけではなく、きちんと洗練されてきたのだなぁ、と。

カップリングの「飴と無知」は、ミディアムテンポの歌モノ。
ワウを効かせたギターのリフが大人びた雰囲気を醸し出しており、Vo.ハロさんの歌唱力を存分に引き立てています。
この手のナンバーは、ボーカルが安定していないと致命的なだけに、どのバンドでも昇華できるというものではないはず。
ライブでもこのレベルで再現できるのであれば、間違いなく武器になるでしょう。

A-Typeに収録された「熱帯夜」は、タイトル通りに熱気と湿度を纏った楽曲。
テンポはそこまで速くはないのだが、情熱的なアレンジになっているので、ラストにもうひと盛り上がりのヤマを作ったといったところ。
「飴と無知」とは違ったタイプのアダルトな空気感がありました。

B-Typeに収録された「バイバイ」は、バンドサウンドを強めて、ライブ感を出した。
「熱帯夜」とは異なる盛り上げ方で、初心者にはとっつきやすそう。
従来から昭和歌謡系が好きなリスナーであればA-Type、ジャンルとしてはじめて触れるのであればB-Typeを選択するのがオススメかな。

違いを出すのが難しい昭和歌謡系の世界。
出だしはよくても、徐々にネタ切れになってしまったバンドは本当に多かった。
その中で、相応に曲数が増えてきたにも関わらず、色々なパターンを試せているのは好印象。
この調子で、ジャンル再興の起爆剤となってほしいものです。

<過去のベルに関するレビュー>
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