10th Melty Life / SHAZNA | 安眠妨害水族館

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10th Melty Life/SHAZNA

10th Melty Life 10th Melty Life
3,240円
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1. [1/2]

2. LIVING DEAD

3. HUMANITY

4. PreView

5. Film

6. 初恋

7. French kiss xxx

8. 心

9. SIGNAL

10. Thank You "4" Coming Today

 

メジャーデビューから20年、6人組となってシーンに帰ってきたSHAZNA。

本作は2007年、デビュー10周年の再始動の際にリリースしたフルアルバムです。

 

彼らはデビュー当時のインパクトが強すぎたがあまり、それ以降の作品について語られる機会が少ないのですが、実はSHAZNAで随一の名盤こそ、この「10th Melty Life」なのではないかと。

ポップで華やかというパブリックイメージを包含しつつ、原点回帰ともとれるストレートな疾走ロックを主軸に据えて。

自然消滅的に活動が停滞していた彼らの復活を待っていた層にとっては、これ以上ないぐらいに期待に沿った作品だったと言えるでしょう。

 

特に、序盤の勢いは目を見張るものがある。

「[1/2]」でテンポ良く滑り出すと、ロック色を強く打ち出した「LIVING DEAD」に。

意図的に彼らなりの激しさを表現したうえで、書き下ろしの「HUMANITY」でその流れを決定づける構成が見事。

IZAMさんがいつになく反抗的な歌詞を書いているのも、なんだか印象に残りますね。
大人になり、少し擦り切れた感が出たことが、楽曲の方向性とマッチしていました。

中盤以降はミディアムナンバーを中心に展開され、実験的な楽曲もいくつか見られます。
ピアノの演奏がメインとなっている「Film」や、お洒落なフレンチポップに振り切った「French kiss xxx」は、新しい扉を開こうとするアプローチ。
こういう楽曲群がさらっと出来るようになっているのが、メジャーで揉まれた強みなのかも。
もちろん、「初恋」のような王道ポップロックや、メロディアスなシングル曲「心」が、作品としての安定感をもたらしていることも忘れてはいけません。
あれよあれよという間に、終盤戦へ突入していましたよ。

ラストスパートは、再び疾走ロックに戻ってくる「SIGNAL」。

やや性急ではありますが、一気にアルバムをヒートアップさせる役割を果たしています。

締めに配置された「Thank You "4" Coming Today」は、ドラマティックに構築されたミドルチューン。

開放感があって、少し切なくて、歌モノとして成立しているけれど、バンド感は失っていない。

まさに大団円といったところですな。

 

なお、アルバムを通して、未音源化ではあったものの活動休止前に制作された楽曲も含まれているとのこと。

加えて、エンハンズド仕様で、代表曲である「Melty Love」のMVも収録されており、あらゆる面で、10周年記念作品としてふさわしい内容に仕上がっていたのでは。

タイトル的に、ベストアルバムと誤解されそうなのがネックだが、集大成であるのは間違いない。

強引に過去の楽曲の再録などをしなかったことも、彼らのプライドと矜持として評価したいところです。

充電期間を勘案すれば、もう少しボリュームを持たせても良かったかな、とは思うけれど。


<過去のSHAZNAに関するレビュー>
PURE HEARTS
GOLD SUN AND SILVER MOON
White Silent Night
Promise Eve

Melty Case