Melty Case / SHAZNA | 安眠妨害水族館

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Melty Case/SHAZNA


1. Melty Love
2. TOPAZ
3. Pity for Pinocchio
4. O・A・T・H
5. Scinillate Evening

1996年にリリースされたSHAZNAの2ndミニアルバム。
インディーズ時代の作品となります。

言わずと知れた代表曲である「Melty Love」を収録した初のCDとなるのが、この「Melty Case」。
軸となるキャッチーなメロディは変わらないのですが、歌詞が幾分かV系然としているので、後追いで聴くと垢抜けない歌い方も相まって違和感があるかもしれません。
ただし、疾走感が強調されて、リードトラックとして主張している様は、比較による優劣に目を瞑れば、確かにポテンシャルを感じられる
インディーズ音質さえ何とかなれば、このアレンジは相応に好みであったと言えますね。

続く「TOPAZ」にしても、ダークに寄せた疾走ナンバーとなっていて、当初のSHAZNAは、こちらがメインの音楽性だったのだと伺わせます。
「GOLD SUN AND SILVER MOON」に収録された「SWEET ANGEL」の原曲である「Pity for Pinocchio」がボーナストラック扱いなのも、重きを置くサウンドが変化していったことを示唆しているのでは。

面白いのは、「O・A・T・H」。
メロディ運びは、完全にSHAZNA節なのですが、ロック色を強めようとしたのか、男らしく荒々しく歌おうとしている印象で、試行錯誤の過程であることがよくわかるかと。
ポップに振り切ったほうがハマるという結果がわかっているからこそ、楽しめる聴き方があるといったところでしょうか。
ラストの「Scinillate Evening」は、序盤は音数を少な目にして、徐々にバンドサウンドで盛り上がるという構成のバラード。
流れとして、最初の2曲がスピード感があって期待された一方で、後半3曲がミディアムナンバーだったことについては、少し尻すぼみ感が出てしまったかなぁ。

ネックとなるのは、演奏レベル。
これに尽きてしまいます。
Vo.IZAMさんの歌唱力にしても、フレーズがシンプルな割りに落ち着かないリズムワークにしても、メジャー期のクオリティとは雲泥の差。
楽曲が悪いわけではないのだが、さすがにこれでは聴きにくさを感じてしまうよな。
代表的な楽曲は再録されているし、今となっては、あえて触れる必要性はないのかも。

これ、最盛期はとてつもないプレミア価格となっていたのですが、現在では投げ売り状態。
内容は置いておいて、当時喉から手が出るほど欲しかったファンからしてみれば、実際に手にするチャンスが増えたとも受け取れます。
「Melty Love」の原型がCDで聴けるという意味では、まったく価値のない作品というわけではないと思いますし、ある程度の覚悟があれば聴いてみてもいいでしょう。

<過去のSHAZNAに関するレビュー>
PURE HEARTS
GOLD SUN AND SILVER MOON
White Silent Night
Promise Eve